イギリスの消費者物価指数が上昇しています。
きのう英国統計局が発表した8月の総合消費者物価指数(CPI)は、前年同月比で3.2%でした。
2012年3月以来(9年5カ月ぶり)の高い伸び率になったわけですが、但しこれにはエネルギー価格の上昇分が加わっているとこを踏まえねばなりません。
国内経済に変化がなくとも、輸入するエネルギー価格が上昇するだけでCPIは上昇してしまいます。
当ブログでは常に、コアCPI(エネルギーを除く消費者物価指数)やコアコアCPI(エネルギーと生鮮食品を除く消費者物価指数)を使用しているのはそのためです。
とりわけ、イギリスでの指数を押し上げたのは「レストラン・ホテル」で、前年同月比8.6%の上昇でした。
「物価が上がったからなんなんだ?」と思われるかもしれませんが、物価が上昇するということは基本的に景気が上向いていることを示しています。
ただ、ここで言う「上昇」とはあくまでも「マイルドな上昇」のことであって、急激な上昇は過剰景気の可能性を疑わねばなりません…
私は3〜4%の上昇率はマイルドな上昇率だと考えております。
さて、イギリス政府は、まさにコロナ禍ピークの昨年8月、個人消費を喚起するために飲食店での会計を一定範囲内で半額補助する施策を実施しましたし、サービス業には日本の消費税にあたる付加価値税の一時的な引き下げも行いました。
そうした消費刺激策を行った昨年に比べても3.2%も上昇しているのですから、凄い。
ご承知のとおりイギリスでは今年7月にコロナ禍の行動規制がほぼ解除されており、経済活動の再開により基調的にも経済は上向いています。
消費を換気する政策とともに、充分なる補償をもしてきたからこそ、ワクチン等の普及で自粛経済が解かれた途端に消費が増え景気が上向くのでしょう。
因みに、ワクチン接種の遅れで行動規制を解除できず、PB黒字化の堅持のために消費税率の引き下げもせず、経済的補償も不十分な我が国とはえらい違いです。
むろん「3.2%の上昇でも充分に急激だ!」と指摘する声もありますが、イギリス統計局は今回の上昇を「一時的な現象」とみているようです。
消費者物価に代表されるインフレ率等の上昇を、世間には快く思わない人たちがいます。
それは主として、株や債権を運用することで収益(所得)を稼いでいる人たちです。
要するに実体経済(GDP経済)ではなく金融経済での利回りを飯の種にしている人たちで、その最たる存在がグローバル資本家たちです。
彼らにとって物価の上昇は金融資産の下落を意味します。
ゆえに物価が上昇するとすぐに株屋新聞の日本経済新聞あたりが「インフレ率が上昇したぁ〜」「財政支出を拡大しすぎるとインフレになるぅ〜」と叫ぶわけです。
私ども多くの日本国民は、実体経済(GDP経済)を飯の種にしています。
実体経済を飯の種にしている人たちにとっては、マイルドなインフレ率上昇こそ心地よい経済です。
なのに…
現在の日本のインフレ率は?
0%です。