去る8月20日、総務省から全国の世帯が購入する家計に係る財やサービスの価格等を総合した物価の変動、則ち「消費者物価指数」が発表されました。
生鮮食品を除いた総合消費者物価指数(コアCPI)はマイナス0.2%(前年同月比)で、酒類以外の生鮮食品及びエネルギーを除いた総合消費者物価指数(コアコアCPI)はマイナス0.8%(前年同月比)となりました。
今回、指数の計算方法が5年ぶりに見直されました。(2015年基準→2020年基準)
新基準で遡ると、コアCPIはなんと12ヶ月連続でのマイナスです。
一見、消費者にとって物価の下落は喜ばしいことと感じるかもしれませんが、生産性向上を伴わない物価下落は実質賃金の下落につながり結果として国民全般を貧しくします。
なお、消費者物価指数の調査結果は年金改定などにも利用されていますので、消費者物価が下落すると年金受給額にも悪影響を与えます。
もともと現在の我が国で起きている物価下落は総需要不足(デフレ経済)に起因していますが、そこにコロナ禍による自粛経済が拍車をかけています。
12ヶ月連続で物価が下落している危機的状況のなか、巷には「これ以上、政府が支出を拡大するとインフレになるぅ〜」と、不要な警鐘を鳴らしている人たちもいます。
今朝の経済番組でも、しきりにインフレ懸念を指摘する解説者がいました。
「これ以上の国債発行は危険だぁ〜」と。
いわゆる「財政破綻論」ですね。
さて、2021年3月末現在での我が国の国債及び借入金残高は1,217兆円です。
対前年度末比で102兆円の増加となっていますが、コロナ対策で国債発行額が増えた以上、当然の話です。
因みに、政府保証債務残高は34兆円です。
ではその結果、長期金利とインフレ率はどうなったでしょうか?
長期金利は0.02%(7月30日時点、新発10年国債)、インフレ率(コアCPI)に至っては▲0.2%(7月時点)となり前述のとおり12ヶ月連続のマイナスです。
言うまでもなく、財政破綻論こそが既に破綻しています。