上のグラフのとおり世銀統計をみますと、我が国の株式市場取引高は1997年以降のデフレ化、及び構造改革の推進によってよって飛躍的に高まっていったことがよくわかります。
デフレと構造改革!
これこそが、20年以上にもわたって日本国民を貧困化させてきたものの正体です。
代表的な構造改革は、例えば郵政の民営化、上下水道事業の民営化、電力事業の自由化、派遣法改正等の労働規制の緩和、そして公務員の削減です。
そもそも構造改革の目的が「株主利益の最大化」にある以上、行政が担う業務の民営化、自由化、規制緩和が求められてきたのも当然の帰結です。
なお1997年からはじまった「緊縮財政」が日本経済をデフレ化させてきました。
緊縮財政とは、中央政府及び地方政府が収支を縮小均衡させる財政政策のことで、デフレ化とは総需要が不足する経済のことです。
デフレ経済によってもたらされる経済現象は、物価と実質賃金の相乗的縮小です。
とりわけ実質賃金の下落は企業の人件費を引き下げ、加えて法人税減税が相まって企業の「純利益」を引き上げました。
この純利益こそが、まさに株主配当金の原資です。
株式市場の取引高が引き上げられること自体はべつに異論はありませんが、そのトレードオフとして貧富の格差の拡大、国民の貧困化、公共インフラの劣化、食や水の安全性の喪失、あまつさえ未来のための企業投資が抑制されてきたのであれば実に由々しき問題です。
因みに、おカネの価値を引き上げるデフレ経済は資本収益で暮らす人々にとって実に都合がよかった。
もしもデフレが払拭されインフレ経済に転じてしまうことは、それ則ち彼ら彼女らの資産価値の下落を意味したからです。
しかも法人税減税の穴埋め財源として消費税の税率が引き上げられてきたことが家計消費を圧迫し、そのことがまたデフレ経済に拍車をかけたわけです。
消費税の増税が法人税減税の穴埋め財源であったことは下のグラフをみれば明らかです
世に言う「財政破綻論」が嘘であった事実がようやく徐々に広まりつつありますが、実は「財政破綻論」は構造改革の潤滑剤だったのです。
財政が破綻するから、公務員を減らそう。
財政が破綻するから、公的部門を民営化し自由化しよう。
財政が破綻するから、消費税の税率を引き上げようなどなど。
こうした根拠なき政策低減を多くの国民が無邪気にも支持した。
結果、公務員の削減でパソナ(竹中平蔵会長)は儲け、水道事業の民営化で国民が求める安全な水が失われつつあり、消費税の引き上げでデフレは益々深化し国民は貧困化しています。
いつも言うように、現在の我が国が抱えるあらゆる問題の根源に「日本は借金で破綻するぅ〜」という“財政破綻論”があります。
そのため、国(地方政府も含む)の政策は絶対的に「緊縮財政」に行き着きます。
政治家、官僚、学者、メディア、国民の多くが、この誤った財政論(財政破綻論)に基づく「緊縮財政の必要性」を主張して恥じないのは、彼ら彼女らが正しい貨幣観を有していないからです。