新型コロナパンデミックとの闘いに勝つためには、ワクチンによる集団免疫の獲得こそが最善の方法である、というのが専門家の見解です。
全てのワクチンは、使用が許可される前に安全性と効果について厳しい治験と高水準の審査に合格する必要があります。
しかし残念ながら、COVIDワクチンについて誤解を招く、あるいは科学的根拠に基づかない間違った情報が広がり続けています。
例えば、主なものだけでも次の5つあります。
①ワクチンの中にマイクロチップなどの追跡装置が入っている!?
②ワクチンには豚肉か牛肉が入っている!?
③ワクチンで自分のDNAが書き換えられてしまう!?
④ワクチンは女性を不妊にする!?
⑤ワクチンを打っても感染する!?
これら①〜⑤は全て根拠なき情報(噂話)であり、以下、専門家の見解を踏まえて解説いたします。
まず①の「ワクチンの中にマイクロチップなどの追跡装置が入っている!?」についてですが、この根拠なき陰謀論は「ビル・ゲイツ氏がワクチンを使って人にマイクロチップを埋め込んでいる」というものです。
むろんビル・ゲイツ氏本人はそんな発言はしておりませんし強く否定されています。
この噂はSNSなどを中心に世界中に拡散しているようですが、どのCOVIDワクチンにも個人情報を保存するマイクロチップが入っている事実は確認されていません。
次に②の「ワクチンには豚肉か牛肉が入っている!?」については、この噂は特に宗教的な理由から一部の人々に懸念をもたらしています。
ファイザー、モデルナ、オックスフォード大学/アストラゼネカのワクチンは、どれも動物由来の成分など使われていません。
たしかに過去には他種のワクチンの保存時安定を図るためにポーク・ゼラチンが使われたことがあったようですが、今回のワクチンはどれも異なります。
次に③の「ワクチンで自分のDNAが書き換えられてしまう!?」についても、これを科学的に裏付ける根拠はまったくありません。
mRNAワクチンを接種すると、体はウイルスと戦うための抗体を作れるようになります。
例えばファイザー製のmRNAワクチンはウイルスの遺伝物質のこく一部を使って人体がウイルスを認識できるようにします。
そしてウイルスを認識できるようになった体は、ウイルスに対して防御できるようになります。
といって、これは人間の細胞にあるDNAには何の影響も与えません。
次に④の「ワクチンは女性を不妊にする!?」についても、接種者の生殖能力に悪影響があるなどを示す科学的データは今のところ一つも確認されていません。
なお英国産婦人科学会は「現在のCOVIDワクチンが女性の生殖能力に影響するような生物学的にあり得る仕組みなど存在しない」と言い切っています。
最後に⑤の「ワクチンを打っても感染する!?」については、これは「割り算」の理解度の問題です。
米国疾病予防管理センター(CDC)によれば、ワクチン接種を終えた米国人のうち、検査で新型コロナウイルス陽性(感染ではない)と判明したのは、わずか1000人に1人です。
米国では、既に1億6100万人が接種を完了しており、接種後に感染した人、もしくは死亡した人はそのうち6000人です。
要するに、ワクチンを接種した米国人10万人のうち、たった3人ということになります。
しかも、65歳未満なら10万人に1人です。
10万分の1は、0.00001%になります。
このパーセンテージを大きいとみるか、小さいとみるか。
ワクチンの治験が終わり、使用が許可された後も、その効果についての研究は絶え間なく続きます。
残念ながらこの世には、わずかな事実な断片を悪用して大勢の本物の不安に便乗する人たちがおられます。
ゆえに、COVIDワクチンについても、オンライン(SNS等)で調べる際にはCDCやWHO(世界保健機構)、及びNHS(英国国民保健サービス)といった正式な医療保健当局などの信頼できる情報源にあたることが重要です。