きのう米国労働省から7月の雇用統計が発表されました。
非農業部門雇用者数が前月比で94万3000人増加し、前月の93万8000人に続く強い伸びとなりました。
とりわけサービス業の労働需要が高まっているようで、米国の経済が力強い勢いを保ったまま下半期に入ったことが確認されたことになります。
雇用統計が当初の予想を大きく上回ったことで、ドル相場も上昇しました。
株式や投信など金融経済(資本収益)で暮らす人たちにとって気になるところのテーパリング(量的緩和の縮小)の時期については、「時期が早まるのではないか…」との味方が強まっています。
財政支出の拡大に伴う需要創造効果はもちろんのこと、バイデン政権が長期的かつ大規模な財政支出の拡大ビジョンを示したがことが米国経済に好影響を与えているのだと推察します。
来月の雇用統計の発表後、FRBはテーパリングについて何らかのアナウンスをするのではないでしょうか。
さて、今回のコロナ・パンデミックが引き起こした経済危機は戦後最大のものです。
そのことを自覚している米国をはじめとする先進諸国の政府は、経済回復に多くの資金を投入しています。
していないのは日本だけです。
上のグラフは、我が国の『実質消費支出指数』(2021年6月現在)ですが、ご覧のとおり基調は右肩下がりのままであって、財政支出を拡大している米国の経済状況とは実に対照的です。
日本を除いて世界各国が財政を投じているため、もしも製造業からサービス業に至るまであらゆる企業がデジタル化等の恩恵を引き出すことができれば、少なくともその国では短・中期的には生産性の向上と繁栄の見通しの期待も高まります。
則ち今まさに、生産性が向上する国と、向上しない国との分岐点にあると言っていい。
成長しようとする国の妨げになるものがあるとすれば、それは「無期限に財政出動はできな〜い」等々、長期的かつ大規模な財政支出に対し異を唱える人たちによる政治的抵抗です。
この種の政治的抵抗に勝ち抜かねばならないわけです。
残念ながら日本の場合、闘う前に既に負けています。