東京都と沖縄県の『緊急事態宣言』が8月末日まで延長され、更には神奈川県、埼玉県、千葉県、大阪府にも対象が拡大し、北海道、石川、京都、兵庫、静岡には『まん延防止等重点措置』が発令されました。
とはいえ、今や日本では緊急事態が常態化してしまったせいか、世間的にも危機感に乏しい。
一方、これまでは「コロナに感染しても若者は重症化しない」と言われてきましたが、デルタ株の猛威がはじまりつつあり例え若者であっても重症化するケースが増えています。
他の先進国並みにワクチン接種がはじまってさえいれば事態はもっと変わっていたと推察されますが、事ここに至っては言葉もありません。
陽性者数の拡大に歯止めがかからず、たまりかねたのか菅内閣は重症者以外の患者を自宅療養とする方針を示しました。
「いや、病床は空いているじゃないか…」という人もいますが、この種の御仁は「病床さえあれば受け入れは可能だ」と誤解しているのでしょう。
病床が空いているのと受け入れ体制が整っているというのは全く別の問題です。
その理由を調べてから言ってほしい。
むしろ、無駄の一言で病床を削減し続けてきたツケがまわってきたと言うべきです。
さて、コロナ以来、自粛経済からはじまり緊急事態やらまん延防止やらで経済活動は大幅に制限されています。
補償が不十分なままの自粛強制によって、例えば飲食店の関連チェーンを中心に大打撃を受けるなど国内経済が疲弊しているのは周知のとおりです。
そうしたなか日銀が7月26日に発表した『資金循環統計』によると、家計の金融資産は3月末時点で1946兆円となり、なんと前年同月比で7.1%増えました。
しかも比較可能な2005年以降で過去最高を更新しています。
そこで上のグラフのとおり、家計貯蓄(家計金融資産)の増減額をグラフ化してみました。
2020年は、コロナ自粛によって経済活動が停滞したはずですが、それでも家計貯蓄は130兆円増えています。
これを日本経済新聞及び、その御用コメンテーターたちは「新型コロナウイルス禍で個人消費が抑制されたことで現預金が増えた」と解説していますが、個人消費が抑制される以前にどうして所得が増えたのかの説明になっていません。
要するに彼らは「所得は増えたものの、消費しなかったから貯蓄が増えた」と言っているだけで、「どうして所得が増えたのか」の説明がない。
説明がないのではなく説明ができない、と言ったほうが正確かもしれません。
答えは簡単です。
政府がその分、赤字(プライマリー・バランスの赤字)を拡大したからです。
政府がもっと赤字を拡大すると、家計貯蓄はもっと増えます。
だれかの赤字は、必ず誰かの黒字ですので当然の話です。
断っておきますが、例え政府の赤字が拡大しても、インフレ率も金利もゼロ%のままで推移していますのでまったく問題ありません。
どんなに政府が赤字になろうとも、自国通貨建てで国債を発行できる変動為替相場制を採用する国(政府)には「破綻(デフォルト)」などあり得ないのです。