真夏の五輪

真夏の五輪

きのう横浜スタジアムで五輪野球の準々決勝(日本vs米国)が行われました。

延長10回の末、日本は劇的なサヨナラ勝ちによって準決勝進出を決めました。

高校球児だった私にとって野球での勝利には喜びもひとしおです。

さて、五輪をTV観戦していると、水泳や卓球などの室内競技は昼間に行われ、野球などの屋外競技はなるべく朝夕に行われていることがわかります。

その理由は、むろん暑さ対策でしょう。

マラソンや競歩に至っては札幌に移動しての開催です。

私も夏の炎天下で野球をやっていたのでよくわかりますが、暑さとの闘いというのは実に過酷です。

ましてや、「絶対に水は飲むな」という時代でしてからなおさらです。

今にして思えば、よくあの炎天下のなかで野球をやっていたものだ、と我ながら驚きます。

熱中症対策が喧しくなった現在においても、毎年、約3000人の子供たちが熱中症で倒れています。

野球のみならず、酷暑の中での運動は心肺機能を維持するだけでも負荷がかかるほか、体温を適切に保つ機能にも大きな影響を与えます。

そのことは「暑さの中で五輪では次々に世界新記録が出る可能性は低い…」と言われる所以でもあります。

ご承知のとおり、前回の東京五輪は10月に開催されました。

一方、今大会の開催は正に真夏。

選手たちはまず、メダル争い以前に夏の気温と湿度の高さと闘わねばなりません。

もっと涼しい時期にやればいいのにと思いますが、五輪の開催時期は世界の主要競技日程に左右されます。

五輪では、世界中のテレビ局が数十億ドルのおカネを支払って放映権を購入しますが、彼らにとって適切な時期、適切な時間に放映する必要があるわけです。

上の図のとおり、世界の主要競技日程には7月から8月に空白があります。

放映権は、IOC(国際オリンピック委員会)の二大収入源のうちの一つです。

IOCはテレビ局とスポンサーをできるだけ喜ばせたい。

商業主義が優先されて以来、「秋のオリンピック」が開催されなくなったのはそのためです。

といって、むろん商業主義のすべてを否定するつもりはありません。

それもあっていい。

この種の問題はゼロかイチかの選択ではなく、その中間のどこかに答えを求めていくべき問題だと思います。