現在の日本のように、インフレ率が0%、金利も0%の状態がつづき、完全雇用が達成されていないデフレ経済情勢下では、政府による歳出拡大(需要創造)政策が求められます。
ましてや、緊急事態宣言及びまん延防止等重点措置の発令が長引き、飲食店等、通常営業を制約されて苦境に立たされる事業者が多い中にあっては、何よりも通貨発行権を有する政府のによる「補償」が必要となります。
財源はもちろん国債発行でいい。
わかりやすく言えば、いかに日本政府が赤字を創出できるか、が勝負です。
そうしたなか先週の金曜日(7月30日)、財務省から2020年度一般会計の決算が発表されました。
2020年度予算に計上されたものの、実際には執行されたなかった予算(繰越額)は、過去最大の30兆7804億円となりました。
新型コロナウイルス感染症への対応等もあって、過去最大となる予算を計上したにもかかわらず、予算の5分の1の額を翌年度に繰り越すという結果となりました。
せっかく過去最大の予算を編成しても「過去最大の繰越額」では意味がない。
これが緊縮財政です。
財務省としての言い訳は、感染の拡大で公共事業及び観光支援策の執行が計画通り進まなかったこと、手続きに時間のかかる事業者支援関連予算の未消化が多かったことを挙げ、麻生財務相も「使い残しで余ってしまったわけではない」と言っています。
その理由は「執行の間に合わなかったコロナ関係の予算は使途を明確にした上で翌年度での支出が可能だから…」とのことですが、少なくとも麻生財務省には「政府の赤字が足らない実状」を理解されていないようです。
明日から神奈川県、埼玉県、千葉県、大阪府にも緊急事態宣言が発令されます。
東京都及び沖縄県の緊急事態宣言も8月末まで延長されるとのことです。
補償が不十分なままに経済活動が縮小され、ワクチン承認の遅れから接種も進まず。
日本の接種率はG7平均の半分です。
こうした我が国の政治の現状を、いみじくも『論語』の一節が物語っています。
「名正しからざれば、則ち言順ならず。言順ならざれば、則ち事成らず。事成らざれば、則ち礼楽興らず。礼楽興らざれば、則ち刑罰中たらず。刑罰中たらざれば、則ち民手足錯くところ無し。」