実体経済(GDP)は実需の世界であり、誰かが生産したモノやサービスを、他の誰かがおカネを出して買うことで決定されます。
それに対し、為替市場や証券市場などの金融経済は「情報」が決定すると言っていい。
きのう(4月22日)の東京外国為替市場では、円相場が一時、約7か月ぶりに1ドル139円台まで値上がりしました。
といって、これは円が高くなったというより、ドルが売られ主要通貨に対して安くなったからです。
ドルが売られた理屈は、トランプ大統領がFRB(米国の中央銀行)に再利上げ要求をしたことを受け、市場が「トランプ発言は中央銀行の独立性を損なうもの…」と判断したからだそうな。
4月17日にもトランプ大統領は自身のSNSで「一刻も早く解雇すべきだ」と投稿し、非公式ではあるもののパウエル議長への退任要求に踏み込んでいまいした。
そこに「トランプ大統領による再利上げ要求」という“情報”が加わってのドル売りだったわけです。
ドルが売られて、安全資産の一つである円が買われました。(為替市場では、円は安全資産です)
いま入った報道によれば、さきほどトランプ大統領がパウエル議長の解任要求を撤回したらしい。
このように金融市場は、実際に解任されなくとも「情報」だけで市場が乱高下します。
そもそも「中央銀行の独立性」なんていう抽象的な表現では、それがどこまで維持され、それがどれだけ損なわれているかなど物理的に検証するのは不可能です。
要するに金融経済の世界は「損なうかもしれない…」という中途半端な“情報”だけで十分に売り買いの材料になるわけです。
口先介入なるものが成立するのも、そのためでしょう。
このように、実体経済はあくまでも「実需」の世界であるのに対し、金融経済は「情報」の世界です。
ゆえに、金融経済の世界では情報を抑えた者たちが必然的に儲ける仕組みになっています。
その意味で、情報を抑えるということは、すなわち金融を抑えることになります。
さて、情報の世界である金融経済では政府による「口先介入」が可能ですが、当然のことながら実需の世界でそれは通用しません。
どんなに政府が「国民の皆さん、来月から必ず景気が良くなりますよ」という情報を流したとて、実需は一向に増えない。
誰かがおカネを使わない限り、実需(GDP)は絶対に増えないのです。
悲しいかな現在の日本政府は「日本は借金で破綻するぅ〜」というインチキな情報(財政破綻論)を垂れ流すことで企業や家計の将来不安を煽り、おカネを使わせないようにさせているのが実状です。
つまり日本政府はこの30年間、口先介入により実体経済(GDP)を抑圧してきた愚かな政府なのです。
しかも、政府自らもカネを使わない。
その元凶は、むろん財務省です。