グローバリズムは、平時においては格差を拡大し、有事においては人々の安全を保障し得ないシステムであることを、今回のパンデミックが改めて証明しました。
むろん、ワクチン政策をみても然りです。
ユーロ・グローバリズム、即ちEUでは、今なお加盟国に対して計画どおりにワクチン供給ができていません。
EUはそのことで激しい批判に晒されています。
多くのEU加盟国はワクチンの共同調達計画に信頼を寄せていたのですが、期待は大きく裏切られた格好です。
とりわけ、国際的に立場の弱い中小の国々にとっては失望の極みのようで、ハンガリー、ポーランド、スロバキア、チェコなどのようにEUを当てにせず独自にワクチンを手配している国もあります。
言わでもがな、パンデミックは国運を左右します。
皮肉にも、EUから離脱した英国では、EU域内の国々に比べワクチン接種が順調に進んでいます。
上のグラフのとおり、EU加盟国の接種率平均は13%程度であるのに対し、英国は既に50%を超えています。
明らかに離脱効果です。
仮に離脱していなかったとしても、調達する手配や速やかな承認審査を進めることぐらいはできたかもしれませんが、加盟国としてEUの共同調達計画に参加しなければならなかったことから、間違いなく政治的な圧力を受けていたはずです。
ワクチン接種で先をゆく英国は、どのEU加盟国にも先駆けて経済が回復することでしょう。
因みに、EU平均が13%に留まるなか、ハンガリーはEU平均の約2倍である25%を達していますが、どうやら堪りかねて中国製及びロシア製ワクチンの独自調達に動いたようです。
また、ブルガリアはEUへの加盟により経済的恩恵を受けてきた国の一つと言われていますが、今回のワクチン政策の失敗により、国民のEUに対する不満が高まっているとのことです。
ヨーロッパの統合は、欧州人の果てしなき夢なのでしょうが、少なくともとワクチン政策を司る医療保険分野については国家の役割を見直すことでEUと補完し合うことが求められているのではないでしょうか。
ご承知のとおり、依然として世界にはワクチン接種は夢のまた夢という人々が大勢おられ、豊かな国からどのようにして公平に世界中にワクチンを配布できるかが問われています。
しかしながらEUは、域外への輸出を制限する規制を定めています。
一方、EU(ユーロ・グローバリズム)の呪縛から解き放たれた英国では、ボリス・ジョンソン首相が「我が国は輸出を制限することなく共にパンデミックと闘います」と言っています。
改めて思います。
国境をな否定する「グローバリズム」ではなく、国境を前提とした国際協調、即ち「インターナショル」に基づく世界こそがより理想的な世界ではないでしょうか。