こんどは何を差し出すのか…

こんどは何を差し出すのか…

トランプ米大統領が、自動車への関税措置を数日内に発表するらしい。

これを受けて林官房長官は「措置の内容やわが国への影響を精査しつつ、日米で緊密に協議を進めるなどして必要な対応をとっていきたい」と記者会見で述べていますが、なんだか悪い予感しかしません。

一期目のトランプ政権においてもわが国は自動車への関税を吹っかけられました。

その際、自動車への追加関税を人質にとられて驚いた日本政府は、無様にも食の分野で大いなる妥協を許しました。

2019年8月、トランプ大統領は日米首脳会談の際、安倍首相に対して「晋三、中国が買わなくなって余っているトウモロコシの話をしてくれ…」とメディアの目に晒されたなかで言い放ち、すかさず安倍首相は「…買います」と応じました。

このやりとりに味をしめたのか、トランプ大統領は自動車への25%の追加関税を脅し材料としてちらつかせます。

日米貿易協定交渉の結果、わが国は牛肉の低関税が適用される限度数量(セーフガード)について、TPP(環太平洋連携協定)で米国分も含めた「61万トン」が設定されていたにもかかわらず、新たに米国向けに「24万トン」が設定されることになりました。

つまり、日本にとっては米国分が二重に加わったわけです。

そして、これは後に明らかになったことですが、枠を超過して高関税への切換えが発動された場合、それに合わせて枠を増やしてセーフガードが発動されないようにしていくことをも約束させられたという。

これではセーフガードなんて全く意味がなく、米国からの輸入牛肉を低関税でいくらでも受け入れなければなりません。

さらには、TPPでは低関税枠を拡大の上、枠外関税も15年目には撤廃し完全自由化のはずでしたが、二国間協定ではわずかな枠の拡大にとどまり関税は撤廃されませんでした。

要するに、TPPで合意していた米国の牛肉関税撤廃は反故にされたのです。

因みに、TPPで日本が勝ち取ったとされる農産品の関税撤廃率は品目数で82%といわれていましたが、実際には72%にとどまり、その一方、米国が関税を撤廃した農産品は19品目にすぎず、TPPでの関税撤廃率99%はわずか1%へ激減したのです。

それでいて結局は、25%の自動車関税の「非発動」は約束されることなく、再び今日の事態に至っています。

こんどは米国様に何を差し出すのか!