去る3月6日から土日を挟んで3月11日までの四日間、川崎市議会では来年度予算案を審議する「予算審査特別委員会」が開催されました。
国会の予算委員会は常任委員会ですが、地方議会では特別委員会が設置され審議されています。
特別委員会といっても、60人いる川崎市議会議員が全員で特別委員会を構成しますので、結局は一般質問とほとんど変わりがありません。
当該委員会では慣例により委員長、副委員長、議長、副議長は質問をしませんので56人の川崎市議会議員に質問権があるわけですが、今回の審議を終え気づいてみて驚いたのは、大規模な「交通インフラ」について質問したのは私だけだったことです。
私は初当選以来、事あるごとにインフラの重要性を訴えてきました。
とりわけ、交通インフラのなかでも「道路整備」は街づくりの根幹です。
いつも言うように、道路は交通流の円滑化をはかるだけではなく、災害時には避難路や救援路、火災発生時には延焼を遮断する空間機能を有しています。
それだけではなく、道路は上下水道管やガス管、あるいは光ファイバーケーブルなどの公共公益施設を埋設し、中央分離帯や沿道を緑化すれば環境形成などの空間機能をも有しています。
都市計画道路等の幹線道路の整備は沿道の宅地開発や都市開発を大いに促進しますし、道路網が貧弱な都市は都市間競争での優位性を失うことになります。
私の質疑にありましたように、例えば川崎市における4車線の市道延長は横浜市の5分の1程度しかありません。
都市計画道路の進捗率についても、本市は政令指定都市の中でも、とりわけ大都市の中でも極めて低いほうの部類です。
道路網が貧弱でありつつも、本市がそれなりに発展し得たのは、東京・横浜という大都市(大消費地)に挟まれているという地理的利点を享受してきたからでしょう。
その地理的利点に加え、もしも道路整備への適切な投資が行われていたならば、現在の川崎市はもっと発展していたにちがいない。
まことに残念です。
とはいえ、都市計画道路などの幹線道路の整備には時間を要する用地買収が伴いますので、これまでの遅れを今から取り戻すのは非常に困難です。
であるならば、できるだけ用地買収に手間取らず、より経済効果の大きい基幹道路の整備が本市発展のためには欠かせません。
その点、川崎縦貫道路Ⅱ期と外郭環状道路をつなぐ構想などは本市にとって極めて重要な投資対象となります。
因みに、東日本大震災の復旧にあたり、東北縦貫道や常磐自動車道が有する高速道路の出入り口インターチェンジのアクセス制御機能、そして高速道路としての輸送力と速達性の有用性が再確認されていることからも、本市を縦貫する高速道路ネットワークの形成は極めて重要です。
そうした強い想いから質問したわけですが、近年、インフラの重要性を訴える議員が少なくなっていることに日本国民としても危機感を覚えます。
ローマは一日にして成らず、です。