おコメの価格が5キロで4,000円(前年比で約1.9倍)で高止まりしています。
政府は備蓄米21万トンを放出すると公表しているものの、依然として価格は下がりません。
米価高騰の根本要因は、①減反政策、②肥料や燃料など資材価格の高騰、③昨年の天候不順による不作にあります。
それに加えて、さらなる値上がりを見越し、仲卸の段階で買い占めに走りストックしている業者が多くいるのでしょう。
なお、「ふるさと納税」と「大阪万博」がコメ不足とコメ高騰の温床になっていると指摘する人もいます。
恐ろしいのは、こうしたなか次のような報道が流れていることです。
「農水省は天下り先であるJAの要請だったから減反政策をやらざるをえなかった」
今朝のラジオ番組でも同様の報道が流れ、コメンテーターが「天下り先の一つとなっている全農をなんとかしなければ…」という話になっていました。
これは完全に、全農の民営化を目論むルサンチマン・プロパガンダです。
全農の収支が赤字であることはよく知られていますが、むろんそれは農水省から天下りを受け入れているからではなく、わが国の食料安全保障を担っているからです。
例え全農が赤字でも、金融部門を担う農林中金や保険部門を担うJA共済の黒字によって農業協同組合としての機能が保持されています。
それは郵政3事業と同じです。
郵政3事業を民営化してどうなったかを私たちはよく考えるべきなのですが、やはり小泉内閣以来、「全農をJAから切り離して株式会社化しろ」という政治的圧力があります。
全農の株式会社化を求める声には、全農の存在を疎ましく思っている外資の思惑があります。
外資とは例えばCARGILL(カーギル)。
カーギルは世界最大級の穀物商社で、実は全農の子会社である「全農グレイン」を買収したくて仕方がない。
全農グレインは、JA(全農)が米国で穀物船積施設を運営するため、1979年にルイジアナ州ニューオーリンズに設立した会社です。
例えば全農グレインは、米国の小麦農家と直接契約し、遺伝子組換え農作物と非遺伝子組換え農作物を混入させないように管理(IPハンドリング)した上で、産地から輸出までのサプライチェーンを確立しています。
私たち日本国民が遺伝子組換えの米国産小麦を食べなくて済むのは、まさに全農グレインがあってこその話です。
全農が食料安全保障を担っているというのは、そういうことです。
だからこそ、遺伝子組換えの小麦を世界中に輸出したいカーギルにとっては、全農グレインほど邪魔な存在はありません。
カーギルは全農グレインを買収したいのですが、親会社である全農が株式会社でないがために買収できない。
そこで、米政府を通じ日本政府に対し全農の株式会社化を要請しているわけです。
小泉改革以来、わが国で起きている「JA解体…」を求める声は、こうした米国様の要請が背景にあります。
天下り問題に火をつければ、ルサンチマン・プロパガンダに弱い日本国民の多くは「JAなんか要らない…」となり、それが具現化されれば、カーギルが塩梅よく全農グレインを買収できる環境(全農の株式会社化)が整うわけです。
国民よ、天下りルサンチマンに翻弄されて食料安全保障を失うことなかれ!