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議会報告 02 政治・経済

外国政府による米国債の保有は、米国の驚異にはならない2019/05/17    

トランプ米政権は、中国の通信機器大手であるファーウェイ(華為技術)が米政府の許可なく米国の重要な技術を購入することを禁止し、国家安全保障を理由に米国の通信ネットワークから同社の製品を事実上排除する措置を発表しました。

いわゆる「5G」をめぐる“米中覇権争い”の話ですが、今朝、それを朝の情報番組『グッド!モーニング』(テレ朝)が報道していました。

番組のアナウンサーが読み上げた原稿は客観的事実を述べたものでありそれはそれでよかったのですが、そのあとのコメンテーターの発言が酷かった。

金曜コメンテーターは、朝日新聞の編集委員である一色清(いっしき きよし)氏。

氏のコメントの趣旨は次のとおりでした。

「米中摩擦で最終的な切り札をもっているのは中国だ。なぜなら中国は大量の米国債を保有している。それを売却されて困るのは米国であり、もしも中国が本気で米国債を売却したら米国金利は上昇し米国経済はクラッシュする。よって、米国はよく考えて自制すべきだ…」

よくもまあ、ろくに調べもせずに、朝っぱらから公共の電波を通じて浅はかな知識をひけらかすことができますね。

「浅はか」というより明らかな「間違い」です。

断言しますが、一色氏はおカネと経済の本質について全くもって理解できていません。

一色氏のみならず、「中国の巨額な経常収支黒字(米国債保有)が米国政府の財政赤字をファイナンスしている」と思い込んでいる人たちは多い。

その思い込みから、まるで中国が米国の国家財政を牛耳っているかのような誤解をもたれているようです。

たしかに中国は対米経常収支を黒字化し、大量の“米ドル”を保有してきました。

中国はこの貯め込んだ米ドルで米国債を購入(保有)してきたわけです。

よって、もしも中国が米国債を売却したとしても手元には米ドルが残ります。

さらにその米ドルを売却するとどうなるでしょうか。

人民元レートが米ドルに対して高くなり、中国が保有しているあらゆる米ドル建て資産は目減りし、中国の輸出競争力も失われます。

つまり、損をするのは中国の側なのです。

というか、よく考えてみてほしい。

中国が米国債(米ドル)を売却するということは、その一方で米国債(米ドル)を購入する者がいるわけで、米国債の借り手がいなくなるわけではありません。

しかも、外国が保有している米国債は(例えば日本が保有している米国債もそうですが)、FRB(米国の中央銀行)の口座に電子登録されるかたちで管理され、米国の国内法の管理下にあります。

このため、もしも中国が米国に対し究極的な敵対行動を起こした場合には、米国政府は『国債緊急事態経済権限法』に基づいて、中国が保有する米国債を没収することができます。

要するに、外国政府による米国債保有について優位にあるのは、米国債を保有させている米国政府の側なのです。

そもそも米国が中国から米ドルを借りなければならないという制度的な必然性などありません。

米ドルを発行できる米国政府が、どうして中国から米ドルを調達しなければならないのか。

経常収支が黒字になった中国が、仕方なく米国債を保有させられているだけの話です。

なお、一色氏がおカネと経済(財政)の本質を理解されていないと思うのは、おそらく氏は“民間の貯蓄が政府の財政赤字をファイナンスしている”と誤解されています。

真実はまったくの逆で、政府の財政赤字が民間貯蓄を生み出しています。

結局、そのことを理解できていないから…
「中国の貯蓄(米国債保有)が米国政府の財政赤字をファイナンスしている」
…と誤解してしまうのでしょう。

テレビ界では、コメンテーターはあくまでもその問題について「コメントするだけの人」だから、べつに嘘を言っても構わない、ということになっているのでしょうか。