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議会報告 政治・経済

求められる政府(財政政策)のコミットメント2019/03/14    

いわゆるリフレ派は、日銀がインフレ率2%という物価目標にコミットメント(責任を伴う約束)して金融緩和(主として日銀が市場の国債を購入する量的緩和)を行えば、期待インフレ率が上がって実質金利が下がるから、やがては企業投資が拡大しデフレを脱却できる、と言っていました。

実質金利 名目金利 期待インフレ率

例えば名目金利が3%でも、期待インフレ率(日銀の目標は2%)が2%なら、実質金利は1%になる…よって企業は借金して投資してくれるはず…という、いわゆる期待インフレ率理論です。

先日、企業を対象に行った市政報告会において、「この中で、実質賃金をみて経営判断されている経営者の方はおられますか?」と質問したところ、「・・・・・」と会場が静まり返り、一人の手も挙がりませんでした。

それどころか、「実質賃金って何だ?」と言いたげに不思議そうな顔をされていた経営者もおられました。

要するに、実質金利の高い安いなど、多くの経営者が気にしていないのでしょう。

いや、大企業は違うのか。

さて、世界銀行が各国の実質金利を発表しています。

世銀による実質金利の定義は「貸出金利から物価上昇分をGDPデフレーターで補正した金利」とのこと。

そこで、この世銀が発表した実質金利と、民間企業が工場や事業所を建設したり機械などの設備を購入・更新したりするための投資、いわゆる「民間設備投資」(企業投資)とを比較してみましょう。

日銀による量的緩和(黒田バズーカ)は、2013年4月からです。

ご覧のとおり、2013年以降、実質金利は大幅に低下していますが、民間設備投資はさほどに増えていません。

例えば、2000年の実質金利は3.5%で、そのときの民間設備投資額は約8.3兆円ですが、2017年の1.2%で、民間設備投資額は約8.5兆円です。

実質金利は半分以下になっているのに、民間設備投資額はわずか2千億円しか変わりません。

一方、下のグラフは、資金循環統計で各経済主体の資金過不足(フロー)を示したものですが、非金融法人(民間企業)は未だ資金過剰状態(収入よりも支出が少ない状態)です。

企業の資金過不足状態が「不足」(収入よりも支出のほうが大きい状態)にならないかぎり、デフレ脱却とはいえません。

さらには、企業の貯蓄率(対GDP比)がマイナス化しないかぎり、デフレ脱却とはいえない。

要するにデフレ期においては、実質金利を引き下げたところで企業投資は増えないことは明らかです。

企業が設備投資を拡大する時というのは、先々の需要拡大が見込めたときです。

即ち「投資すれば儲かる」という環境になったときです。

デフレ期に需要を創出できる経済主体は唯一つ、政府だけです。

企業投資を増やすには財政支出の拡大(需要の拡大)を政府がコミットメントするほかありません。

求められるのは、日銀(金融政策)のコミットメントではなく、政府(財政政策)のコミットメントです。