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議会報告 02 政治・経済

需要を充たすのは「おカネ」ではなく「生産力」2019/02/10    

過日(2月8日)の衆議院予算委員会での安倍総理の答弁に失望しました。

その答弁とは、(少子高齢化の克服が最大の課題であり、全世代型の社会保障制度の実現するため)消費税率引き上げによる安定財源が必要だというものです。

質問されたのは、自民党の岸田文雄(前外務大臣)議員でした。

因みに岸田さんは財務省好みの緊縮派らしい。

景気に左右されない消費税なら「税金を取りっぱぐれることがないからいい」と言うわけです。

裏を返せば、例え景気が悪くなり国民の所得が減ったとしても「政府は容赦なく税金を徴収しますよ」と言っているに等しい。

消費税とは異なり「所得税」は、景気が良いときに税収が増え、景気が悪化すると税収が落ち込みます。

だからこそ所得税は、景気後退期には企業や個人の消費や投資が落ち込まないように、あるいは景気加熱期には消費や投資を抑制するようになっています。

即ち、所得税には景気安定のスタビライザー機能があっても消費税にはそれがありません。

なお所得税には国民の所得格差が拡大しないように累進課税制度が併用されています。

一方、消費税にはそれすらもない。

それほどに税収を確保したいのであれば、デフレを脱却してGDPを安定的に成長させればいい。

税収は、原則としてGDP(名目)に比例するのですから。

そうすれば消費税率を引き上げる必要などなくなります。

平成に入ってからというもの、「少子高齢化による衰退論」と「政府の財政破綻論」は、まるで対のようにキャッチフレーズとなって国民の将来不安を煽ってきました。

結果、「だったら消費税増税もやもえまい」という世論が形成されてきました。

しかしながら、「政府の財政破綻論」は今やデマの類であることが証明されていますし、少子高齢化を深刻化させている主因は「実質賃金の低下」「東京への一極集中」なのですから、まずはそれらを改善すべきだと思います。

実質賃金を引き上げるには、生産性向上と労働分配率の引き上げが必要でしょうし、東京への一極集中に歯止めをかけるには、地方と都市部、そして地方と地方とを結ぶ交通インフラの整備がまずは必要でしょう。

それらには手を付けず、結論在りきで「安定財源は消費税増税で…」とやるわけです。

総理をはじめ、財政破綻論を口実に緊縮財政(増税を含む)を主張されている人たちが大いに間違っているのは、経済力を「おカネの量」だと盲信している点です。

断言します。

大事なのは「おカネの量」ではなく、モノやサービスを「生産する力」です。

ちょうど話題になっていますが、レオパレス21は天井の耐火性に問題がある物件に住んでいる7782人に転居要請をしています。

引っ越しにかかる費用はレオパレス21がすべて負担し、3月中に完了する計画のようです。

レオパレス21が近隣の物件と引っ越し業者を紹介し、同意を得られた入居者から引越しの準備を進めようとしているとのこと。

ところが、その作業が難航しているようです。

入居者から不安の声が上がっていることもあって、レオパレス21は「入居者のみなん、安心してください。我が社にはおカネはあります」と、懸命にアナウンスしています。

お察しのとおり、問題は「おカネ」ではなく「引越し業者が足りない」のです。

引越しという需要があるのに、それを充たすための生産力が足りない。

おカネはあっても引越しができない。

少子高齢化も然りです。

例えば少子高齢化にともない医療需要が高まっていくことが予測されていますが、そのときに重要なのは「おカネ」ではありません。

我が国に医療サービスを十分に生産できる力(人材、技術、設備)があるかどうかです。

せっかくおカネはあるんだけど、「医者が足りない」「看護師も足りない」「設備が追いつかず技術もない」、これでは増税により財源を確保した意味など全くありません。