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議会報告 川崎市政

切り札とならなかった「企業主導型保育所」2019/02/07    

安倍政権が待機児童対策の切り札として導入した「企業主導型保育所」ですが、制度運営の実務を担っている児童育成協会が800カ所の企業主導型保育所を立ち入り調査したところ、なんと7割を超える企業保育型保育所(606ヶ所)が保育計画などに不備があり、指導監査基準を満たしていなかったといいます。

例えば、入所率が半数以下だったり、実態を把握していなかったり、適切な食事を提供していなかったり、施設整備などに不備があったりするなど、枚挙にいとまがないようです。

一方、朝日新聞の調査によれば、川崎市を含む20の政令指定都市と東京23区に聞き取り調査をしたところ、企業主導型は保育士の一斉退職や助成金受給企業の倒産などのトラブルも表面化しており、制度のひずみを指摘する声が上がっているだとか。

企業主導型保育所は、国の制度です。

自治体は関与していません。

例えば川崎市にある企業主導型保育所について、その実態を川崎市当局が把握することはできません。

企業主導型保育所という制度は、その企業が内閣府の所管する児童育成協会に開設申請をし、それが受理されれば協会の指導監督のもと助成金が支給される仕組みになっています。

簡易な申請で認可保育所並の助成金が得られる点が設置側の最大のメリットのようです。

設置企業は自社の従業員向けに設置することができるほか、保育事業者が複数の企業と契約したりすることもでき、また「地域枠」を設ければ外部の人も利用できるとして普及していきました。

2017年度時点において全国2,597施設(定員59,703人分)が助成を受けています。

これにより、とりあえず「量」を増やすことには成功したわけです。

ところが案の定、「質」の面において、前述のような事態に陥っているわけです。

こうした事態をうけ、さすがに宮腰光寛少子化対策担当相も「量の整備に重点が置かれ過ぎ、質の確保への意識が十分でなかったのではないか。一度立ち止まり、改善を図るべきだ」と発言されています。

そもそも、認可保育所並みの助成金を出せるのであれば、ふつうに認可保育所を整備すればいい。

そうすれば自治体による監督指導も可能となり、その地域における保育所運営の実態を把握することもできます。

行政には行政の、利益を追求することなく国民に安全な公的サービスを提供するという行政ならではの役割があります。

詰まるところ、企業主導型保育所もまた、ネオリベラリズム(新自由主義)に基づく「小さな政府論」に依拠しているようです。

ネオリベラリズムは、完全情報を有する合理的な個人が完全競争市場において最適化行動を行う、という非現実的な仮定を前提にした「一般均衡理論」をベースにしています。

完全情報を有した合理的個人、一度でいいから見てみたい。