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議会報告 政治・経済

自虐史観、自虐経済観、自虐財政観2019/01/28    

先週のダボス会議(世界経済フォーラム年次総会)で、日本銀行の黒田東彦総裁が「高齢化といった人口構成の変化は長期成長率を押し下げ、日銀の取り組みを困難にする可能性がある」との認識を示されました。

加えて総裁は「人口構成の変化とともに長期成長率が低下すれば、自然利子率が低下するリスクが高まる」とし、「高齢化社会は借り入れ需要の減退につながる可能性があり、金融機関は高利回りを求めてリスク志向を強め、金融システムが不安定化する恐れがある」と述べました。

要するに、黒田総裁の言わんとするところは…
今後、我が国では、高齢化率が高まる 経済が成長しない 資金需要が減退する 貸出先のない金融機関がハイリスクな資金運用に迫られる 金融システムが不安定化する!
…のだそうです。

はて、本当にそうでしょうか?

先日、出演させて頂いたラジオ番組でも申し上げましたが、これこそが「高齢化で人口が減る日本はもうだダメだぁ〜」という自虐経済観です。

むろん、現在のようにデフレを放置すればそのとおりかもしれません。

なので、デフレ前提の話ならわかります。

しかしながら、いま日銀が行っている金融緩和政策だって、その目的はデフレ対策のはずです。(目的は達成されていないけど)

それに、我が国の高齢化率は確かに高まりすが、だからといって需要(GDP)が消えて無くなってしまうわけではありません。

GDPとは国民の「所得」の合計であり、あるいは国内で「生産」されるモノやサービスの合計であり、「需要(支出)」の合計でもあります。

国民経済において「国民が豊かになる」ということは、国民一人当たりの所得(GDP)が増えること言います。

むろん「所得増=幸福」かは価値観の問題ですが、少なくとも国民一人当たりの所得を増やすことこそが政治の目的たる「経世済民」です。

そこで、GDPを支出面(需要面)でみますと、
①政府消費支出
②民間消費支出
③公共投資
④民間設備投資
⑤純輸出
の5つに分類されます。

①~④が内需ですが、ご承知のとおり、我が国は1998年にデフレ経済に突入して以来、民間部門による消費や投資が低迷しています。

また、「国の借金がぁ~」というファンタジー理論が世に蔓延っていることから公的部門の消費や投資も増えておらず、そのことがまたデフレを助長しています。

さて、このような絶望的な状況にあるなか、皮肉にも我が国のGDP(需要)を下支えしたのが「国民医療費」です。

なぜなら国民医療費のうち、公費負担は①の政府消費支出であり、個人負担は②の民間消費支出、あるいは医療機関が新たな医療機器などに資金を投入すれば④の民間設備投資に勘定されるからです。

もしも日本の高齢化が今よりも進まず、医療費が拡大していなかったら、日本経済はもっと壊滅的にデフレ化していたことでしょう!

即ち、高齢化に伴う医療需要の高まりこそが、日本経済を下支えしてきたのです。

つまり高齢化に伴って拡大する需要と供給も、立派な経済の一要素なのです。

高齢化(生産年齢人口比率の低下)によって確かに働き手が減るわけですが、だからこそ、これからの日本は生産性の向上(働き手一人あたりの所得の向上)のチャンスにあるはずです。

生産性の向上とは、簡単に言うと、それまで例えば3人がかりで行ってきた生産を今後は一人で行えるようにすることです。

それに必要なものは、むろん4つの「投資」です。

①公共投資、②設備投資、③技術開発投資、④人材投資

今まさに、官民あげてこれらへの投資を拡大できれば、それもまたGDPに換算されますので、ちょうどデフレ対策にもつながるわけですが、デフレという需要不足と将来不安の中では民間部門に投資拡大の期待はできません。

だからこそ、公的部門による投資(財政支出)の拡大が求めれます。

ところが、「日本は借金大国だから政府は支出を切り詰めなければならない」という自虐財政観が、それをまた阻みます。

日本は今、自虐史観、自虐経済観、自虐財政観という蛸壺の中にあります。