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議会報告 政治・経済

リチャード・クー氏を支持します!2019/01/11    

昨夜、BSフジのプライムニュースをみました。

お題は「2019年の日本経済の展望とリスク」で、パネリストは次の3名(敬称略)でした…
・熊谷亮丸(大和総研 チーフエコノミスト)
・リチャード・クー(野村総研 主席研究員・チーフエコノミスト)
・長濱利廣(第一生命経済研究所 主席エコノミスト)

お三方のご主張を簡潔にまとめると次のとおりでした。

まず、熊谷氏は「今年はテールリスク(確率的には極めて低いものの、発生すると非常に巨大な損失をもたらすリスク)があるものの、消費税増税(8%→10%)は行うべきで、景気減速への配慮として概ね現政権の対策を支持」とのこと。

次いで、リチャード・クー氏は「消費税増税(8%→10%)には反対。民間がおカネを借りようとしない以上、政府部門がおカネを借りて使うべきだ。即ち財政出動が必要」とのこと。

最後に、長濱氏は「現今の経済環境から消費税増税(8%→10%)には消極的にならざるを得ない。増税による財政再建は失敗する可能性がある。金融政策が手詰まりな今、財政政策(財政出動)が必要」とのことでした。

私が驚いたのは熊谷氏の次の発言でした。

「財政に対する国民の不安を解消するためには①経済成長、②歳出カット、③増税の三つをバランスよくやらねばならない」とした上で、「現在の日本の福祉は、高福祉低負担になっているのでそれが将来不安につながっている。よって福祉予算のカットが必要だ」という趣旨の発言をされていました。

ちょっと待ってくださいよ。

そもそも、将来にわたって現在の福祉水準を維持するために消費税を増税するのではなかったか!

しかも、消費税増税(8%→10%)に伴う景気悪化に対処するため、消費税増税(8%→10%)による増収分でその対策費を賄うのだという。

だったら最初から増税なんかしなきゃいい。

また熊谷氏の言うテールリスクとは…
・トランプ政権の迷走で、GDPが0.6%減
・中国経済の想定以上の減速で、GDPが0.9%減
・Brexitの悪影響による欧州経済の悪化で、GDPが0.7%減
・中東の混乱等を背景とする原油高で、GDPが0.4%減
・残業規制の強化で、GDPが1.0%減
…とのことで、これらを全て合計すると、GDP成長率は「マイナス3.6%」になります。

金額にすると約20兆円のGDP減です。

リーマン・ショックの際のGDP成長率は「マイナス3.7%」でしたので、今年はリーマン・ショックに匹敵する経済被害が生ずる可能性があることになります。

私に言わせれば、これらはもはやテールリスクなどではなく、かなり確率の高いリスクかと思われます。

しかしながら熊谷氏及び大和総研は「リーマン・ショック級の経済的危機が発生しないかぎり、消費税増税(8%→10%)は予定どおり断行すべきだ」と主張している事情もあって「あくまでもテールリスクだ」と言わざるを得ないのでしょう。

その点、リチャード・クー氏は、この30年のあいだその主張は常に一環しており、いつもながらに説得力がありました。

誰かの収入は必ず誰かの支出、誰かの黒字は必ず誰かの赤字、誰かの資産は必ず誰かの負債、という経済の大原則を前提に、民間部門がおカネを使わない以上、政府部門がおカネを使うべきだ、と主張されています。

下のグラフのとおり、各経済主体(企業、政府、家計、海外)の資金過不足をみますと、誰かの支出が必ず誰かの収入になっていることが解ります。

その証拠に、上のグラフを真横にするとほぼ左右対称になります。

資金過剰の経済主体とは「収入以上の支出をした経済主体」のことであり、資金不足の経済主体とは「収入以下の支出しかしていない経済主体」のことです。

グラフをご覧のとおり、1998年のデフレ突入以降、企業(青い棒グラフ)は資金過剰状態が続いています。

即ち、この20年間、企業は総体として収入以上の支出をしていません。

企業の内部留保が貯まっているのはそのためです。

デフレの深刻化によって需要(投資対象)が乏しい現状では、企業に「おカネを借りて使え」と言っても無理です。

であるならば「政府部門がおカネを借りて使うしかない」とクーさんは言っています。

幸いにして政府部門には、防災、国防、教育、医療、介護、交通インフラ、技術開発などなど、さまざまに需要があります。

結びに、熊谷氏に苦言を呈します。

熊谷氏によれば「ストックベースの債務が積み上がった日本では、経済成長のプラス効果よりも、金利が上がるマイナス効果のほうが大きい」とのご指摘ですが…

ではなぜ、景気がいい(いざなぎ景気超え)とされている今、金利は「ゼロ%」水準で推移しているのですか?

むしろ資金需要が乏しく金利が上がらなくて困っている、というリチャード・クー氏のご指摘のほうがはるかに鋭い。

しかも「ストックベースの債務」と言いますが、今や日銀の保有する国債を除いた政府債務対GDP比率は大幅に低下しています。

こうした事実(ファクト)を無視して、いかにも「日本国は借金漬け」みたいに言うのはお控え願いたい。

私は、リチャード・クー氏のご所見を支持ます。