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議会報告 政治・経済

「ステルス」じゃなく「クリアー」なテーパリング2018/10/11    

今朝の日本経済新聞に次のような記事が掲載されていました。

『緩和出口に向けた対話か 職員論文に臆測広がる
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO36302170Q8A011C1EE8000/
ステルステーパリング(隠れ緩和縮小)を進めるという示唆か――。日銀が職員名で公表した論文が債券市場で話題になっている。中央銀行が資産を減らす際のシミュレーションまで示し、将来訪れる緩和政策の出口に向けた地ならしかとの臆測も呼ぶ。(後略)』

ご承知のとおり、2013年3月に黒田さんが日銀総裁に就任されて以来、日銀は市中銀行の保有する国債を購入する、いわゆる量的緩和(黒田バズーカ)をアベノミクスの一環として行ってきました。

日銀が市中銀行から国債を購入するたびに、市中銀行が日銀にもっている当座預金(日銀当座預金)におカネが積まれていきます。

これが日銀による「通貨発行」です。

因みに、私ども日本国民が手にしている日銀券(現金紙幣)は、この日銀当座預金が引き出されて現金化されたものです。

さて、なぜ日銀は量的緩和を行ってきたのでしょうか?

それは、日本経済をデフレから脱却させるために、インフレ率(消費者物価指数の増加率)を目標値(2%)にまで上昇させたいからです。

ところが、これまで既に340兆円ちかくものおカネ(日銀当座預金)を発行してきたにもかかわらず、インフレ率は下のグラフのとおり惨憺たる結果です。

これまで日銀は、なんとしても物価目標を達成するため「年間80兆円のペースで国債を購入します」と宣言してきました。

ところが、昨年(2017年)末の日銀当座預金残高368兆円に対し、下のグラフのとおり先月(9月)末の日銀当座預金残高は約396兆円で未だ28兆円しか増えていません。

このペースでは、年間80兆円の買入れペースを維持することなど不可能でしょう。

よって、上の記事が言っているようなステルス(隠れた)テーパリング(緩和縮小)などではなく、もはやクリアー(明らかな)テーパリング(緩和縮小)になっています。

要するに、市中銀行の保有する国債が既に枯渇していることから、年間80兆円の買い入れペースを維持することが物理的に困難になっているわけです。

日本経済新聞は「日銀が国債を購入しすぎるのは不健全であり、質の悪いインフレになっちゃうから、早めの出口戦略が必要ではないか…」みたいなことを言ってきました。

上の記事も、いよいよ日銀は出口戦略を模索しはじめたのか⁉…みたいな文脈で論じられています。

とはいえ前述のとおり、ぜんぜん「ステルス」なんかじゃないし、そもそも日銀は出口を模索しているのではなく、国債を購入したくても市中の国債が枯渇しているため物理的に購入できない状況に追い込まれているだけです。

むろん、その責任は日銀にあるのではなく、国債を発行しない政府にあります。

また、在りえない財政破綻論をでっちあげては緊縮財政(国債発行の抑制)の必要性を説いている、日本経済新聞社をはじめとするメディア、政治家、学者、評論家たちの責任です。

このままではデフレを脱却できないまま、強制的な量的緩和終了の日が訪れてしまいます。

…どうするのでしょうか?