〒214-0012
川崎市多摩区中野島3-15-38-403
TEL:044-934-3302 / FAX:044-934-3725



議会報告 川崎市政

『外国人専用医療ツーリズム病院』問題は川崎市だけの問題ではない2018/10/10    

医療法人社団葵会が、川崎市川崎区に『外国人専用医療ツーリズム病院』(病床数:100床)を開設しようとしています。

きのう(10月9日)も、市議会の健康福祉委員会で議論となりました。

現在、開設の許可権者である川崎市は、葵会との事前相談に応じています。

もしも当該病院が開設されてしまうと、様々な問題が生じます。

私の考える問題のポイントは、主として次の3つです。

葵会による『外国人専用医療ツーリズム病院』の開設は…
①地域医療に支障を来すこと
②国民皆保険を形骸化させかねないこと
③川崎市だけの問題ではないこと
…です。

まず①について…

当該病院の100床が医療法上の既存病床としてカウントされてしまうため、ただでさえ過剰病床(既存病床数が基準病床数を上回っている状態)地域となっている本市医療圏においては、今後の病床整備(病院整備)が益々もって困難になってしまいます。

本来、「病床」は日本国民の公共財のはずですが、当該病院の開設により外国人のために貴重な国民の公共財が奪われることになるのです。

このことは、本市医療圏の「自己完結率」(その地域の患者をその地域の病院で受け入れることのできる確率)を低下させ、やがて大量の療養難民(日本国民)を生み出します。

また、当該病院の診療はすべて自由診療となりますので、主として富裕層が利用する病院となります。

より利潤性の高い病院に医師や看護師などの医療人材が流入する傾向にあることから、日本国民のための医師や看護師が不足することになります。

これらが現在の地域医療に与える影響は、むろん甚大です。

次いで②について…

現在、各地域で適正な医療が行えるように、地域医療総合確保法に基づいて「地域医療構想調整会議」が開かれています。

例えば、将来の人口動態や疾病動向を推計するなどして地域における適正な医療提供の在り方を検討し、その議論を通じて適正な病床配置を計画するものです。

こうした計画は、日本国民のナショナリズムによって成立している国民皆保険制度の基盤となります。

しかしながら、それとは無関係に国民の公共財たる「病床」が外国人のために使われることになってしまうと、当然のことながら地域の医療提供体制に害をなします。

そして、適正な医療提供体制を前提に成立している国民皆保険にも悪影響を及ぼします。

制度として存在しても日本国民のためには何ら機能を果たさなくなり、即ち事実上、国民皆保険が形骸化し崩壊しかねないのです。

ましてや、外国人であっても3カ月以上、日本に滞在すれば国民健康保険に加入できるようになっています。

外国人専用医療ツーリズム病院であっても、やがて「規制緩和の流れ…」とやらによって、もしも保険診療の対象になったらどうなるでしょう。

最初の3カ月は自費により外国人専用病院で、そのあとはしっかり市内の病院で「国民健康保険」によって高額医療を享受するという流れが定着する可能性が大です。

考えるだけで背筋が凍りつきます。

次いで③について…

今回の事例は、全国で初の事例です。

健康保険の有無にかかわらず外国人の診療や健康診断を行っている病院はありますが、健康保険外で外国人の診療や健康診断に特化した病床をもつ病院は全国で初めてです。

川崎市が当該病院の開設許可だせば、全国至るところで同様(外国人専用医療ツーリズム)の病院が開設されることになります。

結果、前述のとおり、日本国民のための医療人材が不足するなど全国の地域医療に支障を来し、各医療圏の自己完結率を低下させ、やがては国民皆保険が形骸化していきます。

よって、当該問題は川崎市だけの問題ではなく、日本全体の問題でもあります。

川崎市議会における本市当局の答弁によれば、「設備構造と人員要件に適合すれば当該病院の病院開設を許可せざるを得ない」とのことです。

医療法は「営利を目的とする場合には開設を却下できる」としているのですが、厚生労働省は「運営主体が株式会社などの利潤を追求する組織体でなければ、営利目的とは認められない」という珍奇な見解を示しており、川崎市としてはその見解に従わざるを得ないと当局は答弁しています。

であるならば、こうした外国人のための病床を「既存病床にはカウントしない」もしくは「基準病床を加増する」などいずれかの措置をとる、という厚労省の確約がとれるまでの間、例え裁判で負けてでも当該病院の開設許可を出さないようにすべきことを私は本市当局に求めています。

もしも川崎市において悪しき前例がつくられてしまうと必ず全国に伝播します。

川崎市が「国民医療の崩壊」の発火点にならないよう、微力ながら全力を尽くす所存です。