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議会報告 政治・経済

通貨の価値は何で決まるのか2018/10/04    

よく「日本はエネルギー資源の輸入大国だから、常に貿易黒字を確保しなければならない」と言う人がおられます。

下のグラフのとおり、確かに我が国のエネルギー輸入依存度は94%で他国を圧倒しており、「エネルギー資源の輸入大国」と言っても過言ではありません。

とはいえ、だからといって「常に貿易黒字を確保しなければならない」は、なにかの誤解かと思われます。

世界にはおよそ190の国や地域がありますが、その約7割は常に経常収支(貿易収支+サービス収支+所得収支+経常移転収支)の赤字国です。

黒字国は3割程度にすぎません。

例えば、エネルギー輸入依存度が約40%のイギリスも経常収支の赤字国です。

上のグラフには載っていませんが、エネルギー輸入依存度43.5%のフランスにしても常に経常収支は赤字です。

といって、経常収支が赤字だからエネルギーを輸入できない、ということはありません。

エネルギーに関わらず「経常収支が黒字でないと輸入が滞ってしまう」という誤解は、まさに金属主義(おカネ=金属)という誤った貨幣観にあります。

つまり、エネルギーを輸入するための金属(おカネ)を貿易黒字によって掻き集めなければならない、という誤解です。

ご承知のとおり、エネルギー資源を輸入する際の決済通貨は基軸通貨「米ドル」です。

金属主義者は、この「米ドル」を金貨や銀貨などの貴金属貨幣と同様に捉えます。

貿易黒字(経常収支の黒字)によって「米ドル」という貴金属貨幣を搔き集めないとエネルギーを輸入できない、と考えるわけです。

しかしながら、ドルと金との兌換は1971年8月に停止されており(ニクソン・ショック)、米ドルは不換紙幣になって久しい…

結論から申し上げれば、べつに米ドルを貿易黒字で掻き集めなくとも、円を米ドルに両替すればいいだけの話しです。

むろん円を米ドルに両替すると円安圧力がかかりますが、そのとき内需(国内供給能力)が着実に伸びていれば何ら問題はありません。

円の貨幣としての価値は、国内の供給能力に影響されるのであって貴金属の保有量には何ら左右されません。

不換紙幣とは、そういうものです。

我が国の最大の問題は、長引くデフレによって国力の源泉たる供給能力が伸びるどころか毀損され続けていることです。

デフレを長引かせているのもまた、金属主義の貨幣観です。