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議会報告 政治・経済

貿易不均衡の是正要求を逆手にとれ2018/10/03    

日米両国が新たな通商協議の開始で合意にいたりました。

締結に向けて協議されるのは、日米物品貿易協定(TAG)とのことです。

安倍総理は「今回の物品貿易に関するTAG交渉は、これまで日本が結んできた包括的なFTA(二国間協定)とは全く異なるものです」と言っているようですが、米国側はそのように思っていないらしく、むしろ「やっと二国間協議のテーブルにこぎつけた」と、その成果を誇っています。

『日米新交渉の開始「自動車関税が効果」、トランプ氏が見解
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO35996710S8A001C1000000/
トランプ米大統領は1日の記者会見で、自動車に追加関税を発動するとの「脅し」が、日本などとの新たな2国間協議の開始につながったとの認識を示した。自らに有利な取引に持ち込むトランプ氏の戦術が鮮明になった。(後略)』

当たり前の話ですが、米国はあくまでも“日本の市場開放を狙った二国間交渉”へと持ち込みたいのです。

TAGはあくまでも「物品」が対象のようですが、これに「サービス」が加われば結局はFTAと同じになります。

最初は対象を限定して交渉テーブルにつけ、やがて徐々に対象を拡大していくのが米国の戦略でしょう。

因みに、関税や非関税障壁の除去のみならず、知的財産権の保護、サービス分野の規格規準の統一、投資や人の移動の自由化など、幅広い経済連携にまで拡大するとEPA(Economic Partnership Agreement)になります。

記事のとおり、トランプ米大統領は「今回の日米合意は自動車関税で脅しをかけた成果だ」とまで言っています。

とはいえ自働車関税といっても、例えばホンダ自動車は生産の7割が既に米国での現地生産ですし、トヨタにしても現地生産比率は65%に達しています。(2017年ベース)

皮肉にもグローバリズム(ヒト・モノ・カネの国境を越えた自由の最大化)の進展によって既に生産工場は関税の向こう側にあるわけで、いまさら関税を上げ下げしたところで、それほどに影響があるのでしょうか。

トランプ米大統領は「貿易不均衡を是正しろ」と言っているのですから、それを逆手にとって安倍総理は「貿易不均衡を是正するため、日本国としては内需拡大(財政出動)をお約束します」と言えばいいのに…

そうすれば「財政出動は米国様との国際公約なんですぅ~」と言って、公的投資を拡大することができ、同時にデフレ脱却も可能です。

デフレから脱却できれば、政府債務対GDP比の引き下げ、という正しい意味(国際的な定義)での財政再建が可能ですし。

今後、もしも二国間貿易協定の交渉へと進んでいくことになるとすれば、我が国が既にTPPで妥協しているラインが、少なくとも二国間交渉でのスタートラインにされてしまうのでしょう。

安全保障を依存している国との経済交渉に勝ち目はなさそうです。