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議会報告 川崎市政

公立病院の役割2018/09/29    

地域医療を考えたとき、公立病院には公立病院の、私立病院には私立病院の、それぞれの役割と特殊事情があろうかと思います。

また、公立か私立かを問わず、現在、急性期病院の多くは疾病に応じて1日の診療報酬額が決定されるDPC病院です。

DPC(Diagnosis Procedure Combination)とは、閣議決定(平成15年)に基づいて創設された診療報酬制度ですが、 医療資源の投入量に関係なく一定額の診療報酬が確定されるもので、入院日数が長期化するほどに診療単価が低下する仕組みになっています。

よってDPC病院では、一般的により多くの治療や投薬が必要となる合併症の入院患者さんや、長期入院が見込まれる高齢患者さんの場合、病院としては採算を取ることが困難となる傾向があり、どうしても敬遠されがちです。

あるいはDPC病院に関係なく、診療費が未払いになる可能性の高い身元不明の患者さんなども一般的には敬遠されがちです。

このような状況のなか、川崎市の市立病院は公的病院として、可能なかぎりこうした患者さんたちを受け入れるよう努めています。

更には、消費税という税制が公立病院の事業会計を圧迫していることも見逃せません。

医療機関の場合、診療を行うために必要な薬品や材料などを仕入れる際には消費税を支払いますが、診療収入は非課税扱いです。

よって、仕入れの際に支払った消費税の大分部が医療機関の持ち出しになります。

こうした医療機関の「持ち出し分」を軽減するために、国は消費税率を引き上げる際に、診療報酬や薬価・特定保険医療材料価格の改訂を行うことで、医療機関が仕入れの際に支払う消費税に応じた上乗せ措置を採用しています。

ところが、前回の消費税増税(5%→8%)に伴う補填状況をみますと、病院における補填率は当初102.36%とされていましたが、実際には85%しかなく十分に補填されていないことが判明しました。(典拠:厚労省「医療機関等における消費税負担に関する分科会」)

なお、補填率の内訳をみますと…
一般病院 85.4%
(医療法人 92.6%)
(国立 84.7%)
(公立 69.5%)
精神科病院 129.0%
特定機能病院 61.7%
…でした。

ご覧のとおり、公立病院や特定機能病院の補填率が、より低くなっています。

低くなっている理由の第一は、公立病院は地域のかかりつけ医との機能分担を推進していることから、民間病院とは異なり、外来患者を(いい意味で)抑制していること。

理由の第二は、公立病院や特定機能病院では、高度医療を担っていることが多く、MRI等の高額な医療危機や設備等への投資などによって、より多くの仮払消費税が発生していること…などが考えられます。

こうした理由を含め、公立病院には民間病院とは異なる特性もあって、川崎市立3病院(川崎病院、井田病院、多摩病院)を合わせ、約76億円(昨年度ベース)の一般会計からの繰り入れを受けています。

これを「けしから~ん!」「民間では考えられない~!」という人も多々おられます。

とはいえ…

だからといって、不採算患者を切り捨て、かかりつけ医を無視して外来患者をどんどん受け入れ採算性の高い患者だけを診療し、高度医療も担わず、職員給料を引き下げ組織力を低下させ(公務員は災害時などでも必ず出勤しなければならない特別な義務を負っています)、「はい、一般会計からの繰り入れ額が減りましたぁ!」とやったところで、何の意味があるのでしょうか。

因みに、国民経済の観点から申し上げておきますと、この76億円がすべて紙屑となって無駄金として消えてしまうわけではありません。

ちゃんと市内GDPとしてカウントされ、必ず誰かしらの「所得」になっています。

その所得(貯蓄に回らなかった分)が、何らかの投資、何らかの消費というかたちで支出されると、再び他の誰かの「所得」になります。

そうやって所得が増えていくと、当然のことながら税収も増えていきます。

経済とはそういうもので、家計簿とはちがいます。