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議会報告 政治・経済

スロー・トレードの時代2018/08/26    

「スロー・トレード」という言葉をご存じでしょうか。

スロート・レードとは、世界規模で貿易量の増加率がGDPの増加率を下回ることを指します。

即ち、実質GDPが成長しても貿易量が増えない状態です。

いま世界はスロー・トレードの時代に突入していると言われています。

スロー・トレードに至っている要因は様々ですが、一つにはグローバリズムの進展によってグローバル企業の現地生産が増えたことが挙げられます。

また、これが最大の理由かと思われますが、冷戦時代と比較して各国間(東西間)の技術格差が縮小したことです。

ここで言うところの技術とは、生産性向上のための「技術」のことです。

例えば、Chinaのような東側陣営の属する国には、もともと技術力がありませんでした。

そのため、技術力のある国から資本財を輸入しなければ商品(輸出製品を含む)を生産することができません。

2001年にChinaがWTO(世界貿易機構)に加盟したとはいえ、彼の国の資本財の輸入量は大きかったわけです。

しかし何らかの手段によって、Chinaも次第に技術力を国内に蓄積したことにより資本財の輸入量を減らしていきました。

こうした新興国と先進国との技術格差の縮小がスロー・トレードの最大の理由かと思われます。

同時にグローバル化が、先進諸国への外国人(低賃金)労働者流入をもたらし世界的に実質賃金を低下させたことも大きいでしょう。

とりわけデフレが深刻かしている日本においては、今や島根県や鳥取県の人件費のほうが発展途上国よりも安くなりつつあります。

ところが下の記事のとおり日本経済新聞は、まるで「米中の関税戦争」がスロー・トレードをもたらすかのように問題の本質をすり替えようとしています。

『世界の貿易、拡大とまる 4~6月2年ぶり
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO34604990V20C18A8000000/

世界の貿易拡大に変調の兆しが出てきた。オランダ経済政策分析局によると、4~6月の貿易量は前期比横ばいで、ここ2年続いた右肩上がりの成長が止まった。アジアの半導体需要が一服したためとの見方が専門家には多いが、一部では米中貿易戦争の影響を指摘する声もある。7~9月以降に貿易戦争による下押しが強まれば、貿易増加率が経済成長率を下回る「スロー・トレード」の再来が懸念される。(後略)』

記事は、「スロー・トレードにならないように、やっぱり『自由貿易』『グローバリズム』『関税撤廃』が大切でしょ…」と言いたいらしい。

しかし日本としては、べつにスロー・トレードならスロー・トレードでも一向に構いません。

何と言っても、我が国は内需大国なのですから。

子供のころ、まるで日本が輸出大国(貿易立国)みたいに教育されてきましたが、今ではそれがフェイクであることを知っています。

下のグラフのとおり、我が国はOECD加盟国の中でも米国に次いで輸出依存率の低い国です。

まずは「日本は輸出しないとやっていけない…」みたいな自虐思想は捨てるべきかと思います。

事実として日本経済は、輸出に過度な依存をしているわけではないのですから。

問題は、内需を萎めるデフレ経済を政府が緊縮財政(歳出削減)によって放置していることです。