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議会報告 政治・経済

「働き方改革」の背景にあるもの2018/08/22    

「働き方改革」と称して、労働基準法の一部が改正されました。

これにより「残業規制」が強化されたほか、特定高度専門業務・成果型労働制(高度プロフェッショナル制度)という新たな制度が創設されました。

高度プロフェッショナル制度(以下、「高プロ」)は、一定の年収の人(少なくとも1,000万円以上の人)、または職務の範囲が明確かつ高度な職業能力を有する人を対象に労働時間規制の適応を除外するというものです。

但し経営者は、当該労働者の健康を確保するため、年間104日かつ4週間のなかで必ず4日以上の休日を与え、なお①勤務間インターバル、②労働時間の上限、③2週間の連続勤務、④臨時の健康診断、のいずれかを健康確保策として選択することになっています。

これら健康確保策と言われるものが「高プロを導入しても大丈夫だ」という政府の言い分です。

もしもその労働者が高プロ制度の適応に同意し、労使委員会決議や労基署への届け出等がなされれば、経営者は「法に定める労働時間規制の適応」から解放されることになります。

具体的な年収要件や対象業務については労働政策審議会で決めるとされていますが、まずは金融商品の開発業務やコンサルタント等の専門業務のみに従事している人を想定しているようです。

なので、この制度が来年(平成31年)4月から施行されても、当面はこの制度を採用する企業は限定的になろうかと思われます。

とはいえ、ゆくゆくはまちがいなく対象要件は拡大され、やがては一般労働者にも適応されていくのでしょう。

一連の構造改革をみても、政府は必ずこうした手口をつかっています。

派遣法改正の時もそうでした。

最初は限定的な緩和に留めておいて、徐々に対象範囲を拡大していく。

さて問題は、労働基準法が定めている労働時間規制から除外されるということが、何を意味しているかです。

ご承知のとおり、労働者は労働基準法(以下「労基法」)によって経営者から守られています。

労基法の基本的な考え方は「労働者が残業しなければならないのは経営者のやり方が間違っているからだ」というもので、 労働者を残業に追い込んでしまったことへの罰金(経営者へのペナルティ)という意味で経営者に残業代の支払いを義務付けています。

つまり労基法は「残業代を払いたくなければ、生産性向上のための投資が必要なのでは?」と言っているわけです。

むろん、そのとおりだと思います。

考えてみると高プロは、例えば4週間の中で最初の4日間だけ休暇を取得させて、あとはすべて働け、ということが可能になっています。

本来、こうしたことは労基法で違法とされていますが、高プロは労基法適用除外となっていますので、経営者には一切のペナルティがありません。

高プロについて「時間に縛られない働き方ができるようになる」などと言う人もいますが、少なくともこの制度で得するのは経営者で あって労働者ではありません。

一方、高プロとは別に、今回の労基法改正によって「残業規制」が強化されます。

残業規制の強化とは、要するに「今まで以上に残業ができないようにする」ことです。

一見、労働者のための規制強化かと思いきや、そうではありません。

高プロの話では「労働者に残業を強いているのは経営者の責任…」と言いましたが、労働者の側としては、生活費を稼ぐためにどうしても「残業代がほしい」という人もいます。

現在の日本のようにデフレ経済で実質賃金が上がらない状況では、なおさらです。

ところが今回の労基法改正によって、一定以上の残業については「(経営者に)残業代を支払う必要なし…」とされました。

即ち「せめて残業代で稼ぎたい」という人たちが稼げなくなるわけです。

大和総研の試算によりますと、それだけで来年1年間で約8.5兆円の所得(GDP)が喪失されます。

よって、2%ちかいGDPが失われることになります。

むろん、これがまたデフレ圧力になります。

こうした残業規制の見直しは、実は移民受け入れ推進策の一環でもあります。

残業規制によって残業ができなくなっても、こなさなければならない仕事量は変わりません。

だったらその分、「低賃金の外国人労働者に頼ればいいじゃないか…」となるわけです。

外国人労働者は賃金が安いので、彼らを入れれば日本人の賃金も安くできることになります。

経営者サイドにとっては実にハッピーな話です。

残業規制の変更についても「時間にとらわれない働き方」などと言われていますが、単に経営者が人件費を下げたいだけの話です。

詰まるところ、「働き方改革」とはグローバル株主と経営者のための政策です。