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議会報告 政治・経済

尾畠春夫さんと戦略的思考能力2018/08/19    

山口県周防大島町に母親と帰省していた藤本理稀くんの行方が、12日午前から分からなくなり消息を絶っていましたが、大分県からボランティアで駆けつけた尾畠春夫さんの捜索によって発見され、無事、母親のもとへと戻りました。

発見された際、脱水症状はあったものの、これといった大きなケガや病気はなかったようで、とにかく無事で何よりでした。

メディアが称えているように、尾畠春夫さんの徹底した社会奉仕の精神と、その機転の利いた行動力に心から敬意を表すほかありません。

さて、そのうえでの話ですが、メディアは「尾畠春夫さんは偉かったぁ~」としか報道していませんが、私にはもっと注目すべき点があると思います。

70時間をかけ、地元の警察と消防160人態勢で捜索しつつも一向に発見に至らなかったものが、ボランティアの尾畠春夫さんがやってきたら、たった20分で発見したわけです。

「160人×70時間」 vs  「1人×20分」

この違いは、いったい何なのでしょう?

その理由について、メディアはほとんど関心がないようですが、ここにこそ今の日本の行政が抱える根源的な問題があるように思えてなりません。

山口県の警察官の皆さんも、消防官の皆さんも、それぞれ公務員試験に受かり、それなりの知能と学歴を有した人たちだと思います。

しかし彼らには70時間でも足りなかった。

発見後の尾畠春夫さんが「私には学がないもので…」とご謙遜されていたのがいかにも皮肉で、思わず苦笑してしまいました。(むろん、尾畠春夫さんには皮肉のつもりなどなかったと思います)

当然のことながら、160人の警察官と消防官は、70時間を怠けていたわけではありません。

必死になって捜索されている映像がテレビで繰り返し報道されています。

狭い隙間からドブの中を手探りしたり、鬱蒼とした竹藪の中へ分け入ったりと。

ただ、探してるポイントが大幅にずれていた。

一方、尾畠春夫さんは、当初から概ね検討がついていたようで、「こういうとき子供というのは、たいてい高いほうへ歩いていくもんなんです」と言っていました。

なるほど、案の定、藤本理稀くんが発見されたのは、最後に確認されていたところから560mほど離れた山中でした。

ただただ敬服するほかないのですが、なにせたった一人で20分です。

その一人に、装備力と組織力充分の160人が敵わない。

まるで映画『踊る大捜査線』みたいな話です。

行政というのは実に不思議なものです。

公務員一人ひとりをみますと実に優秀で立派な人が多いのですが、組織立つとまったく機能してないことが多々あります。

因みに、大東亜戦争の際の陸海軍もそうでした。

現場の軍人たちは極めて優秀で勇敢。

彼らの頑張りなしでは、あそこまで戦うことなど不可能でした。

でも、司令官と参謀がことのほかダメだった。

ミッドウェー海戦のときの司令官・南雲忠一が典型です。

彼の無能さと、彼を司令官にしつづけた山本五十六の責任は大きい。

あるいは、20年にもわたり日本経済がデフレから脱却できないという異常さも、これに通ずるものがあります。

さらに言えば、現今の日本政治は、①国民経済の安定した成長、②主体的な安全保障の追及、③健全なナショナリズムの育成という「経世済民」の目的を果たしていません。

果たすことのできない最大の理由は、戦略的思考能力の欠如です。

戦略的思考能力…

今回、残念ながら70時間かけて発見できなかった160人態勢の警察消防よりも、20分で発見した尾畠春夫さんのほうが、はるかに戦略的思考に優れていたことになります。

なお戦略的思考能力は、偏差値の高低とは全く関係がありません。