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議会報告 政治・経済

ドラマ『ハゲタカ』2018/08/16    

2000年代初頭、我が国では「失われた10年」ということが言われはじめました。

「失われた10年」の起点は、おそらくはバブル経済が崩壊した1991年だったかと思われます。

現在、テレビ朝日(木曜夜9時)で放映されているドラマ『ハゲタカ』は、この「失われた10年」を基にして物語が展開されています。(本日は第5回)

このドラマは、外圧が無ければ変わることのできない日本はバブル崩壊以降も潰すべきものを自ら潰してこなかったがために「失われた30年」になってしまった、という観点で描かれています。

阿保か!

まず、このドラマには、①デフレとは何か②構造改革とは何か③国民経済とは何か、という視点がことごとく欠如しています。

もしも、このドラマが原作のとおりに描かれているのだとすれば、原作者は「金融経済」と「実体経済」の違いすら理解していないことになります。

そもそも、1991年のバブル経済の崩壊とは、金融経済(株、土地、その他金融商品)の崩壊であって、実体経済(GDP)の崩壊ではありません。

即ち「資産バブル」の崩壊だったのです。

一方、実体経済(GDP)はどうだったのかというと、実は1997年まで実質GDP・名目GDPともに成長し続けています。

実体経済が力を失うのは、1998年以降のことです。

なぜか?

それは、この年から日本経済がデフレ経済に突入してしまったからです。

確かに、資産バブルの崩壊によって株や土地で資産を運用していた個人や企業は大打撃を受けたことでしょうが、株や土地に投機することなく、ふつうに所得を稼ぐことで生計を立てていた多くの日本国民にはバブル崩壊による経済的悪影響はほぼ皆無だったと思います。

繰り返しますが、1997年まで実体経済は実質・名目ともに成長していたわけですから…

1991年の資産バルの崩壊によってバランスシートを大きく傷つけた多くの企業(民間部門)は、バランスシートを修復すべく投資や消費を抑制しました。

それでも、民間部門に変わって政府部門が公共投資をはじめ支出を拡大してくれたので、実体経済は下支えされました。(だから1997年までGDPは拡大した)

ところが1995年、時の橋本内閣(武村蔵相)が、血迷って日本政府の「財政危機」を宣言。(日本財政破綻論は虚構)

それを受け1997年には、「財政構造改革の推進に関する特別措置法」という国民経済を無視した正気の沙汰とは思えない法律が制定され、日本政府の緊縮財政がはじまりました。

即ち、「バブル崩壊」と「緊縮財政」の合わせ技で、日本経済のデフレ化がはじまったのです。

因みに、バブルが崩壊したとはいえ、この時もしも緊縮財政を断行していなければデフレ経済に突入することはなく、今ごろ名目GDPは3倍ちかくに拡大していたものと思われます。

つまり、日本経済衰退の起源は、バブル経済の崩壊した1991年ではありません

デフレ経済に突入した1998年です

その意味で、ドラマ『ハゲタカ』は現状認識からして間違っています。

また、1990年代後半以降、我が国の経済が衰退し続けているのは、デフレに加え、グローバリズムに基づく「構造改革」が進められているからです。

「デフレ下での自由化」「デフレ下での民営化」「デフレ下での規制緩和」「デフレ下での小さな政府」「デフレ下での緊縮財政」「デフレ下での自由貿易」、これらはことごとく「構造改革」の名のもとに進められた「国民経済破壊政策」です。

ここが重要ですが、「構造改革」は『ハゲタカ』の原作者が言うような「外圧」で進められたのではありません。

ほとんどすべての構造改革が、日本人の手で自主的に進められたものです。

例えば、小泉純一郎(元総理)に対して「(あなたの改革は)外圧で進められた」などと言ったら怒られますよ、きっと。

さて、小泉内閣が進めた「構造改革」の一つ、労働契約法と派遣法の改正によって我が国の雇用はどのような影響を受けたのでしょうか?

むろん、非正規社員や非正規職員の割合が飛躍的に増えました。

因みに、雇用者の単位当たりの報酬をみますと、下のグラフのとおりデフレ突入以降、大幅に下がっているわけですが、小泉改革の時代にさらに下がっています。

我が国は、1998年にデフレ経済に突入して以来、ついに「失われた20年」を迎えています。

しかしそれは、ドラマ『ハゲタカ』が言うような、外圧でしか変わることのできないダメな日本が原因ではありません。

あるいは、バブル崩壊以降に潰すべきものを潰さなかったことが原因でもありません。

為政者たちが、浅慮にもグローバリズムを無抵抗で受け入れ、国民経済を破壊する構造改革を自らの手で進め、ありもしない「財政破綻論」に怯えては緊縮財政を行い、未来への各種投資を怠っているがために衰退しています。

そのために、我が国は潰してはならないものを潰しています。

ドラマ『ハゲタカ』…第3回目にして視る気を失ったドラマです。