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議会報告 政治・経済

日本だけが経済成長していない本当の理由2018/08/03    

事実に基づいて思考することは、意外と難しい。

過日も、ある知人が「日本は人口が減るから成長しない…」という前提で、私に持論を展開されていました。

一応、最後まで拝聴するわけですが、そもそも前提が間違っているから結論はとんでもない方向へ導かれることになります。

下のグラフのとおり、世界を見渡すと、この17年間で人口が減少した国は日本を含めて20カ国あります。

「人口が減るぅ~」と言っても、我が国の減少率はわずか0.1%程度です。

とりわけ、リトアニアやラトビアなどバルト三国の減少率は凄まじく、ジョージア(以前はグルジア)も20%を超え、ブルガリア、ウクライナ、ルーマニア、プエルトリコなどもそれぞれ10%を優に超えています。

しかも驚くなかれ、日本以外の19カ国は悉く経済成長しています。

1996年以降、経済成長していないのは日本だけ。

よって、正しい事実認識は「人口が減少している国で成長していないのは日本だけ」です。

では、どうして日本だけが成長していないのでしょうか。

まず、基本を押さえます。

経済成長とは、国民一人当たりのGDPが増えていくこと。

例え人口が減ろうとも、国民一人当たりのGDPが増えれば経済成長です。

その成長率は、①資本投入②労働投入量③TFP(全要素生産性)で決まります。

成長率 =  ①資本投入量  + ②労働投入量  +  ③TFP(全要素生産性)

※ ① 資本投入量は、工場や機械設備など生産資産に対する投資と稼働率で決まります。

※ ② 労働投入量は、就業者数と労働時間で決まります。

※ ③ TFPは、計測不可なため成長率から資本投入量と労働投入量を差し引いて算出されます。

つまり、労働投入量が一定、もしくは減少するのであれば、資本投入量とTFPを拡大すれば必ず経済は成長します。

では、我が国の1980年代後半以降の資本投入量、労働投入量、TFPの推移をそれぞれ見てみましょう。

1991年のバブル崩壊以降、すべてが下がっています。

因みに、リーマンショック以降、生産年齢人口(15~64歳人口)が減少しているにも関わらず労働投入量が若干の上昇を見せているのは、非正規やパートタイム、あるいは外国人労働者などの低賃金労働者が増えたからだと思われます。

就業者が増えても、一人当たりのGDPが増えなければ意味がなく経済成長とは言えません。

下のグラフのとおり、パートタイム労働者の比率は増えているのに、働く時間は減らされています。

就業者数が増えているのに、一人当たりの所得(稼ぎ)が増えないのはこのためです。

そこで国内企業の資本装備率の推移を見てみますと、下のグラフのとおりです。

資本装備率 = 労働者一人あたりの有形固定資産

これが高ければ高いほど労働生産性は高くなります。

ご覧のとおり、2000年代に入って下がり続けいます。

更には、日本の公共投資の推移は下のグラフのとおりです。

要するに、日本だけが経済成長できていないのは、国、地方自治、企業がそれぞれ公共投資、設備投資、技術開発投資、人材投資をしていないからであって、少なくとも人口減少が原因ではありません。

そのうえ、低賃金労働を担う外国人労働者を大幅に受け入れているために、日本国民一人当たりの所得が増えていかない。

こうした事実を把握せず、抽象論やイメージ論で「日本は人口が減るから成長しない」とか、「人口が減るから公共投資や設備投資はもう要らない」とかいう妄言が世に蔓延るからまことに恐ろしい。

人口が増えようが増えまいが、投資を疎かにすれば経済は絶対に成長しません。

投資なければ成長なし…です。