〒214-0012
川崎市多摩区中野島3-15-38-403
TEL:044-934-3302 / FAX:044-934-3725



議会報告 政治・経済

伸びないGDP、その1%…2018/07/15    

トランプ米大統領が、NATO(北大西洋条約機構)加盟国に防衛費の拡大を求めています。

『トランプ氏、NATO加盟国の防衛支出増を要求 ドイツを名指し批判
https://www.bbc.com/japanese/44803150

ドナルド・トランプ米大統領は11日、北大西洋条約機構(NATO)加盟国に対し防衛費支出を、目標の倍に当たる対国内総生産(GDP)比4%に引き上げるよう求めた。ホワイトハウスは、トランプ大統領がこの日ブリュッセルで開幕したNATO首脳会議でこの発言をしたことを認めている。トランプ大統領はまた、防衛費に関してドイツを名指しで攻撃した。NATOのイエンス・ストルテンベルグ事務総長は、全ての加盟国が防衛費にGDP比2%を支出することに注力するべきだと話した。(後略)』

トランプ米大統領は対GDP比4%を求めていたようですが、11日に採択されたNATO首脳宣言には「加盟国がGDP比2%まで引き上げる」と明記された模様です。

因みに、なぜトランプ米大統領がドイツを名指しで批判したのかといえば、おそらくドイツが緊縮財政(PB黒字至上主義)の権化だからではないでしょうか。

かつてヒトラーが財政支出を拡大したことから、ドイツでは歴史的トラウマもあってか、病的なほどに財政支出の拡大を嫌います。

さて、地政学の祖であるハルフォード・マッキンダーは、ユーラシア大陸を世界島と呼び、ヨーロッパを世界島の半島として位置づけました。

もしも、そのヨーロッパ半島をハートランド国家であるロシアが支配することになれば、ロシアが世界を支配することになるであろうと提唱し、ゆえにロシアとヨーロッパ半島に間に“緩衝地帯”を設けることがイギリスの国益であるとしました。

その緩衝地帯の一つがウクライナです。

クリミアがロシアに強奪されるなど、緩衝地帯が徐々にロシアに席巻されつつあるいま、もっとNATOを強化すべきではないか、というのがトランプ米大統領の主張です。

だからこそ「NATO加盟国の防衛費(軍事費)対GDP比率を引き上げるべきだ」と言っています。

とりあえずNATO首脳は「2024年までに対GDP比2%を目標に…」と言ってますが、すこし呑気なような気がします。

米国による一極秩序体制の弱体化が避けられない以上、世界は再び地政学の時代に突入するものと推察します。

そこで、2017年における防衛費(軍事費)の対GDP比率を国際比較でみてみましょう。

上のグラフアは、あくまでも世銀統計による比率です。

中国の1.9%は、どうみてもあり得ない数字です。

実際にはもっと高い数値かと思われます。

一方、我が国は、いまもなおGDP1%枠を死守しています。

防衛費(軍事費)の対GDP比    防衛費(軍事費) ÷ GDP

…ですので、問題は分母となるGDPの伸び率です。

たとえ分子が増えずとも、分母となるGDPが増えていれば防衛費(軍事費)は伸びていることになります。

下のグラフをご覧ください。

2016年のGDPが、1996年のGDPに比べ何倍に増えているのかを国際比較してみました。

ご覧のとおり、我が国はほぼ横ばいで、ほとんど成長していません。

一方、中国はどうでしょう。

統計の信頼性は疑われますが、少なくとも世銀統計では1996年比で10.3倍です。

即ち、日本の約10倍の伸びです。

GDPでこれだけの差がついているということは、防衛費(軍事費)にすると20倍くらいの差があるのではないでしょうか。

昔とはちがって現在の軍事(軍隊)は、戦うための存在というよりも、外交の背景として存在しています。

その意味で、軍事力=外交力の世の中です。

我が国の外交が常に米国頼りなのは、なにも憲法9条だけの問題ではありません。

国際的標準をはるかに下回る防衛費が外交力の低下と米国依存を高めています。

東アジアも含めて、世界は再び地政学の時代です。

わずかGDP1%で、果たして地政学の時代を乗り切ることができるのでしょうか。

因みに、日本は米国のみならず、世界各国から批判されています。

「GDP比1%では、日本は集団安全保障の義務(国連憲章1条)を果たしていないではないか…」と。