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議会報告 政治・経済

残業代を払いたくない人たちのための改革法!?2018/07/01    

6月29日、安倍政権が今国会の最重要法案としてきた「働き方改革関連法」(以下、「関連法」)が、参議院本会議で自民党、公明党、日本維新の会などの賛成多数で可決・成立しました。

可決・成立した関連法では、残業時間の罰則付き上限の規則、あるいは同一労働同一賃金など、いわゆる労働者のメリット(!?)とされるものが謳われていますが、年収1075万円以上の一部専門職(コンサルタント、為替ディーラー、アナリストなど)を労働時間に関する規制から除外するなどの「高度プロフェッショナル制度」(以下、「高プロ」)も盛り込まれています。

政府や与党などの関連法を成立させた人たちは、まるで「労働者を労働時間から解放するんですよ」とか、「労働者を自由にするんですよ」とかみたいなことを言っていますが、今回成立した関連法や制度によって真に解放されるのは経営者であって労働者ではありません。

実際には、株主を含めた経営者サイドのための法律であり制度です。

ご承知のとおり、現行の労働基準法は、休憩時間を除いて1日8時間以上(1週間40時間以上)の労働をさせてはならない、としています。(労働基準法第32条2項)

もしもこれに違反した経営者(労働者ではない)は、その罰則(罰金)として労働者に残業代を支払いなさい、というように経営者への縛りになっているわけです。

高プロでは、年収1075万円以上の一部専門職に対して、年間に104日以上の休日、かつ4週間に4日以上の休日を付与せよ、となっていますが、休日についての縛りはそれだけで労働時間については原則として縛りはありません。

となると、例えば極端な話しですが、月初めの4日間でいっぺんに休日を取得させれば「(その4日間を除き)あとはすべて働け」と経営者は言うことができます。

現在の労働基準法では禁止されていることが、今回の「働き方改革法」によって、一部の労働者に対してはそれが可能になるわけです。

時間外についても規制が取っ払われ、これも極端な話しですが、やはり月初めの4日間だけ休ませれば「あとはすべて24時間働け」と経営者は言うことが可能になります。(さすがにそこまで言う経営者はいないと思いますが…)

要するに、そうした際に経営者は残業代を支払わなくてもよい、という制度に変わるわけです。

また関連法では、労使交渉をして高プロの適応を決めろ、となっています。

しかしながら、私も大学卒業後に民間企業に就職した経験がありますが、(私の場合は高プロ労働者ではありませんでしたが)、入社間もない新人社員ということもあって、直ちに労使交渉など行えるような雰囲気には全くありませんでした。

そもそも入社時にサインした労働契約書の変更や修正を経営者に求めることなど、一労働者がそう簡単にできることではないと思います。

きっと多くの企業が同様の雰囲気だと思います。

恐ろしいことに関連法は、「コンサルタント、為替ディーラー、アナリストなどの高プロ対象者の皆さんにはもともと交渉力がある」という大前提に立っています。

こうした高プロ対象者の「交渉力」に、すでに疑問の声が上がっているわけです。

今回の関連法は、その対象をあくまでも高プロ人材という一部の労働者に限定していますが、いずれ一般労働者にも対象が拡大されていくことは目に見えてます。

派遣労働もそうでした。

最初は通訳などの専門職が派遣労働の対象でしたが、やがて対象枠が拡大され、小泉政権では終に製造業にまで派遣労働が適応されるに至りました。

今回、可決・成立した関連法もまた、労働基準法をなし崩しにしていく第一歩です。

こんご徐々に対象が拡大されていくことになるはずです。

むろん、拡大されていいわけがない。