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議会報告 川崎市政

デフレを想定していない「地方公共団体の財政健全化法」2018/06/23    

川崎市など地方公共団体は、『地方公共団体の財政の健全化に関する法律』(以下「健全化法」)という法律によって、監督官庁である総務省から一定の財政規律を求められています。

原則として、地方公共団体には単年度収支での赤字は認められていません。

即ち「単年度のプライマリー・バランス(基礎的財政収支、以下「PB」)は、常に黒字にせよ!」と、総務省は言っています。

※ PB とは、その年の 借入金を除いた「収入」と、その年の借入金の返済を除いた「支出」とのバランスのことで、いわば“家計簿思想”です。

その自治体の財政状況が果たして健全なのか、それとも不健全なのかを計る尺度として、総務省は「健全化判断比率」という4つの指標を定義し、毎年それを公表するよう各自治体に義務付けています。

その4つの指標のうち、どれか一つでも基準(総務省基準)を上回ってしまった場合、その自治体は「財政が不健全」と認定される仕組みになっています。

例えば、その指標の一つに「実質赤字比率」(一般会計の実質赤字額 ÷ 標準財政規模)というのがあります。

その自治体の実質赤字比率が、11.25%に達するとイエローカード、20%に達するとレッドカードが総務省から突き付けられます。(健全化法第4条、同第8条)

総務省からレッドカードが突きつけられると、例えば当該地方共団体には地方債の発行は認められず、地方行政としての自主的な取り組みも悉く制限されます。

このレッドカード状態こそが、民間企業で言うところの「事実上の破綻」ではないかと一般的に言われています。

なので、各自治体は単年度での黒字確保に必死です。

むろん、川崎市も然りです。

しかしながら、これらは家計簿的には正しい行為ですが、マクロ経済的には大いなる誤謬です。

経済とは、所得が創出されるプロセスのことです。

所得とは、誰かの赤字、あるいは誰かの借金によって創出されます。

よって、すべての経済主体が黒字になることは物理的に不可能です。

誰かの黒字は誰かの赤字で、誰かの赤字は誰かの黒字であることを示しているのが下のグラフです。

例えば、1997年の棒グラフをご覧ください。

家計という経済主体が黒字である一方、政府と非金融法人(一般企業)と海外という経済主体が赤字になっています。

つまり政府と企業と海外部門が、それぞれに収入以上の支出をしてくれたからこそ、家計は大いに黒字になったわけです。

因みに、翌年の1998年以降から政府の赤字が大幅に増えていますが、これはデフレによって税収が不足し、それを赤字国債で補ってきたからです。

どうしても政府の赤字が気に食わないのであれば、一刻も早くデフレを脱却することです。

要するに、誰かが赤字を出してくれないと経済は一向に成長しない、ということです。

デフレ期に赤字を創出できる経済主体は、一般政府(中央政府+地方政府)だけです。

現に、家計は懐を引き締め、企業は内部留保(黒字)を拡大しています。

即ち、日本経済が一向にデフレから脱却できないのは、一般政府による赤字が不足しているからです。

ご承知のとおり、中央政府は在りもしない“財政破綻論”を振りかざして緊縮財政を徹底しています。

一方の地方政府は健全化法に縛られて、PB黒字化を徹底しています。

これではデフレなど脱却できるわけがない。

なにせ中央政府だけでなく、全国の地方政府が総力をあげて黒字化政策を採っているのですから。

とにもかくにも地方公共団体には健全化法という強烈なPB縛りがあるため、絶対に単年度収支で赤字を出すことができません。

デフレ対策のため、自治体が財政的にできることといえば、せいぜい黒字幅を縮小することぐらいです。

そもそも健全化法もまた、デフレを想定していません。