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議会報告 川崎市政

「ごっこ」は要らない2018/06/19    

地方議会では、定例会の採決日になると大抵の場合、「国に対する意見書案」が各会派から、あるいは各会派共同によって提案され採決されます。

これは、地方自治法第99条「普通地方公共団体の議会は、当該普通地方公共団体の公益に関する事件につき意見書を国会又は関係行政庁に提出することができる」という規定に基づいて行われるものです。

とはいえ、仮に意見書案が議決(可決)され正式な「意見書」として国(関係機関)に送られたとしても、実際には衆参両院や中央省庁などの関係機関に書類が届き、ただ保管され積み上がっていくだけです。

なにせ日本中の地方議会が年間に何十本という意見書案を議決(可決)して国(関係機関)に送るのですから無理もありません。

即ち、地方議会における意見書案の議決というものは、良く言えば地方議会(あるいは各会派)としての政治的な「意思表示」であり、悪く言えば選挙目当てのたんなる「パフォーマンス」程度の話しです。

問題は意見書案の内容だと思うのですが、むろんそれはピンキリです。

私の経験上、内容として実にまともで意義のある意見書案もありますが、ときに幼稚で全く中身がなく、場合によっては内容の事実関係すら間違っている酷い意見書案もあります。

酷いと言えば、明後日(川崎市議会の採決日)に提案されようとしている、ある意見書案です。

この意見書案は、どうやら議長さん直々のご提案らしく、なぜか議会局の職員が私のところに案文をもって説明にきました。

それも「議長が提案するんだから、これで賛成してください」とでも言いたげな語調で。

根回しに来るのは一向に構いませんが、来るなら提案者が自分で来い。

私もよく知らなかったのですが、川崎市議会の議長というのはとても偉いらしく、議会局の職員すべてが自分の秘書だと思っておられるようです。

べつに議会局の全職員が議長秘書という括りであっても構いませんが、重要な政治案件の説明(根回し)を秘書にさせる議員というのはよほどの大物か、よほどの小物かのどちらかです。

私は国会議員の秘書を経験しておりましたので、よく判ります。

さて、その意見書案の内容ですが、正式に提案される前ですのであまり詳しくは書けないのですが、概ね次のような趣旨です。

提案者によれば…
「先日の米朝会談で拉致問題解決に向けての一歩が踏み出された」
「本市には拉致被害者のご家族がお住まいになっている」
だから「今回の米朝会談を契機として日本が主体となって北朝鮮と交渉し」
「日本人拉致問題の早急なる解決を求める」
…というものです。

一見ご尤もそうな内容ですが、どうでしょう?

まず、先日の米朝会談で「拉致問題解決に向けての一歩」が本当に踏み出されたのでしょうか?

そうした情報を、提案者はしかるべき政府筋あるいは外交筋から得たうえで作文されているのでしょうか。

今回の米朝会談によって、むしろ拉致問題交渉について北朝鮮側を硬化させてしまった、という情報を私は政府関係者から得ています。

そのことを議会局職員という“秘書”に確認したところ、「一歩踏み出した」という情報の根拠はどうやら報道ベースらしい。

「だってテレビや新聞が言ってたから…」では、失礼ながら小学校の学級会レベルです。

この提案者には真面目に調査するという姿勢が欠けています。

次いで意見書案の「(今後は)日本が主体となって北朝鮮と交渉し」の部分は、実に噴飯物です。

そもそも日本が主体となって交渉できるなら、どうして端っから米国様にお願いしたのか。

残念ながら、現在の日本には主体的な外交を展開するための国家としての能力が欠如している、という悲しい現実をすべての日本国民が直視しなければなりません。

即ち、主権国家として主体的に外交(拉致問題の解決交渉)を展開できないところに、我が国が抱える根本的な問題があるのです。

「何よりもまず、主体的な外交や安全保障を追及できる国にしなければならない」という問題意識をどうしてもてないのでしょうか。

市議会議員とはいえ、国民の代表たる議員なのに。

よって、真に拉致問題の早急なる解決を求めるなら、まずは外交力(国際交渉力)を高めるための情報力(諜報力を含む)、経済力、軍事力を強化するための富国強兵策を国に求めるべきでしょうに。

いい加減な事実認識を前提に、ただ「早く解決してくれ」では、「夏休み子ども議会」と一緒です。

※川崎市議会では、凄く忙しい部署である“議会局広報課”の企画による「夏休み子ども議会」(正式名称は「夏休みこども議場見学会」)が毎年行われています。抽選で選ばれた小学生を議場に呼んで質疑をしてもらうなど議員体験(議員ごっこ)をしてもらう企画です。

さて、当然のことながら「本市には拉致被害者のご家族がお住まいになられているから…」という感情は理解します。

しかしながら、政治は「情」の前に「理」が優先されなければなりません。

もしも「理」がお座成りにされ「情」が優先されてしまうと、かえって拉致被害者及びそのご家族の皆様に更なる悲しい思いをさせることになりかねません。

私に言わせれば、今回の意見書案は拉致被害者及びそのご家族のための意見書案ではなく提案する人たちのための意見書案です。

拉致被害者及びそのご家族を利用した「政治的パフォーマンス」に私は与することはできません。

このような「私たち市議会議員も拉致問題の解決に向けて一応は頑張ってまーす」という“ごっこ政治”はいらない。

“議員ごっこ”は、夏休みの小学生だけでいい。

こうした“ごっこ”はするくせに、明らかに北朝鮮との深い関りを有する市内の団体や施設に対して何らの制裁を主体的に課したことがない川崎市と川崎市議会。

誰からも攻撃されない安全地帯で「意見書案」を提案するよりも、少しは体を張って拉致被害者とそのご家族のために仕事をしてみたらどうだ。

微力ながら私はやっています。(小さな仕事かもしれませんが…)
http://ryusuke-m.jp/wordpress/pdf/media/200319-sankei.pdf

おそらく明後日の川崎市議会では、唯私のみが議長さんご提案の「意見書案」に反対することになります。

無所属議員である私には、議場において「どうして反対なのか」という反対討論を行う機会は与えられません。

よって、こうしたブログによる反対討論とならざるを得ませんでした。

来年の統一地方選挙にむけて、今後ますます様々な意見書案が議会に提案されることでしょう。

それらはいったい誰のための「意見書」なのか…有権者の皆様の賢明なるご判断を賜りたい。