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議会報告 政治・経済

貿易戦争への備えは十分か2018/06/06    

米中貿易戦争が勃発したものの、米国は輸入製品の価格高騰に伴う国内経済への打撃を考慮し、鉄鋼の主たる輸入先の半分を占めるカナダ、ブラジル、メキシコ、韓国の4カ国を暫定的に関税措置の適用除外国としていました。

ところがトランプ政権は、これまで輸入制限(鉄鋼・アルミニウムへの高関税)を一時的に猶予してきた、カナダ、メキシコ、EUに対しても、ついに適用を拡大することになりました。

やがては自動車にまで高関税を課すことも検討しているようです。

例のごとく「自由貿易こそが各国の経済厚生を最大化させる!」と信じて疑わない、いわゆる自由貿易絶対主義者たちは、これら一連のトランプ政権の措置をことごとく批判しています。

例えば…

「世界最大の経済大国の保護主義による貿易戦争は、世界経済に大きな打撃を及ぼす。それは米国経済を直撃するだけでなく、超大国の信認を失墜させる。貿易赤字を2国間で解消しようする誤った思考は、トランプ政権の反経済学の姿勢を世界に露呈している」(岡部直明「トランプ発の貿易戦争、最大の敗者は米国」日経ビジネスより)など…

しかしながら、トランプ大統領の主張にもそれなりの理があります。

まず、「Chinaを自由貿易体制に組み入れ、その利を食らわせれば米国の主導する国際秩序に挑戦してくることはなくなるであろう」というリベラリズム的戦略のもとに、米国がChinaをWTO(世界貿易機構)に加盟させたのは2000年のことです。

その結果、下のグラフのとおり、Chinaの名目GDP(国内需要+純輸出)は急成長を成し遂げました。

自然、このことがChinaの軍事予算を飛躍的に拡張させました。

むろん、人民解放軍の軍事力が驚異的なスピードで強化され、東アジアにおける軍事バランスを不安定化させました。

まるで「在日米軍など恐れるにあらず」とばかりに、我が国固有の領土である尖閣諸島に対してあからさまなチョッカイを出すようになったのはそのためです。

何よりも、Chinaの貿易収支の対米黒字は、米国国民の所得と雇用をも奪いました。

1999年から2011年の間に、米国はChinaからの輸入増加によって240万人もの雇用を喪失したのだとか。

トランプ氏は、そうした米国国民の怒りを代弁して大統領選挙に当選したのですから、例え「貿易戦争」と揶揄されようとも、断固して「保護貿易」を貫いていくことになるでしょう

確実に言えることは、どんなに自由貿易論者が自由貿易を推奨しようとも、あるいはどんなに主流派経済学に基づく保護貿易批判が為されようとも、トランプ政権がその路線を大幅に変更することはないということです。

そのことが我が国の地政経済に与える影響はどのようなものであるのかを、冷徹に見極め対処するしかありません。

例えば、米国市場から締め出されたChinaは益々もって、我が国の脅威となる「一帯一路」を進めるであろうし、直接的に日本市場への輸出圧力をかけてくる可能性もあります。

また、米国は日本に対して対米貿易黒字の削減、及びFTA(二国間の貿易協定)の締結を求め、更なる日本の経済的・外交的な譲歩を迫ってくるのは必至です。

今の安倍政権に、それへの備えはできているのか。