〒214-0012
川崎市多摩区中野島3-15-38-403
TEL:044-934-3302 / FAX:044-934-3725



議会報告 政治・経済

悲しいジレンマ2018/06/04    

過日のイタリア総選挙で、反グローバリズム政党である「五つ星運動」と「同盟」が躍進したことを受け、グローバリズムに与するメディアはこぞってこれらの政党を「右寄り」だの「極右」だの、あるいは「ポピュリズム政党」だのとレッテル貼りをして必死に貶めようとしています。

躍進した「五つ星運動」にしても「同盟」にしても、ふつうに「グローバル投資家やグローバル企業のための政治ではなく、イタリア国民のための政治や経済を実現してほしい」というイタリア国民の声に応えようとしているだけです。

そもそも「ポピュリズム」の本来の意味は「反エリーティズム」であって、その国を指導するエリート層たちが「国民のための政治」を怠っているのであれば、それに対する対抗措置として、国民による反エリーティズム運動(ポピュリズム)が巻き起こっても何ら不思議ではありません。

政治を担うエリート層たちの劣化がこれだけ甚だしいのに、まったくポピュリズム運動が起きない日本などよりも、むしろ余程に賢明であり健全なことではないでしょうか。

さて、評論家である中野剛志先生がご指摘されておられるように、国家は「領土」と「貨幣」と密接な関りをもつことで、その国のマクロ経済政策を可能にしています。

例えば現在の日本のように、領土という一定の空間において物価と賃金が相乗的に下落していくデフレ経済期には、国家が貨幣(独自通貨)の発行量と財政支出を拡大することで、デフレを克服し、疲弊した国民経済を立て直すことが可能です。(それができるに、やっていないことが問題ですが…)

ところが、共通通貨「ユーロ」を導入したユーロ圏では、「国家」と「貨幣」が分断されてしまったがために「貨幣の脱領土化」が進んでしまいました。

結果、ユーロ圏のマクロ経済政策を困難にしています。

『イタリア混迷、ECBにジレンマ 量的緩和終了に影響も
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO31313090T00C18A6FF8000/

イタリア政局の混乱で、欧州中央銀行(ECB)のドラギ総裁が難しい決断を迫られている。イタリアの長期金利が急上昇するなど市場が揺れるなか、既定路線とされてきた年内の量的緩和政策の終了に逆風が吹き始めている。市場の安定を優先して緩和終了を先延ばしにすれば、無責任な政治を助長してしまうリスクもあり、ジレンマに陥っている。(後略)』

記事は、「欧州全体としては量的緩和政策の終了時期を模索しているなか、長期金利が上昇しているイタリアのために量的緩和を継続しなければならないジレンマにECB(欧州中央銀行)が陥っている」と報じています。

ユーロに参加する各国は、それぞれに独自の「通貨」を捨て共通通貨ユーロに参加してしまったがために「通貨主権」を喪失してしまったわけです。

残念ながらユーロ圏には、それぞれの加盟国の経済力の違いから「金融を緩和すべき国」と「金融を引き締めるべき国」が混在しています。

本来であれば、財政危機(デフォルト危機)に落ちった参加国をECB(欧州中央銀行)が支援すべきだと思うのですが、それを財政危機(デフォルト危機)にはない参加国が反発するわけです。

国家と貨幣と領土が切り離されてしまった地域(ユーロ圏)が抱える、悲しいジレンマです。