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議会報告 政治・経済

良い報告書とダメな報告書2018/05/26    

昨日(5月25日)、自民党の財政再建特命委員会(岸田文雄政調会長)の提言書が自民党総務会で了承され、正式な党決定となりました。

『財政再建に関する特命委員会報告』
https://kiharaseiji.com/wp-content/uploads/2018/05/81730ef9a749e76355e48e434bfd7337.pdf

読んでみると非常に残念な報告書で、歴史ある公党の提言書としては甚だ恥ずかしい内容です。

例えば象徴的なのは次の件(くだり)…
「現実には、日本の需給ギャップは極端な需要不足状態にはなく、大掛かりな財政出動を必要とする状況にはありません」
…とのことです。

需給ギャップがあるのかないのかは、国内の資金需要をみればいい。

国内資金需要が過剰であれば「インフレギャップ」であり、逆に過小であれば「デフレギャップ」です。

では、我が国の国内資金需要をみてみましょう。

下のグラフでいうと、グレーの面グラフ(ネットの国内資金需要)が大は幅なマイナスで推移し続ければ「資金需要は過大(インフレギャップ)」、小幅に推移し続けると資金需要は過小(デフレギャップ)」を意味します。

ご覧のとおり、ネットの資金需要は、細り続けています。国内の資金需要の弱さを示しています。

ネットの国内資金需要(グレーの面グラフ)がマイナス6~8%で推移しなければ、「日本はデフレ(デフレギャップ)を脱却した」とは言えないのだと思います。

よって、この提言書は、根本的に現状認識が間違っています。

また、結局は「プライマリーバランスの黒字化が必要だ」と、御多分に漏れず言っていますので、当報告書は「貨幣」の本質を理解していない人たちによって策定されたことがよく解ります。

しかも当報告書は「100兆円規模の予算を組んでいるのに緊縮予算と言えるのか」と断じていますが、こういうのをお〇〇さんと言います。

誤解を恐れずに言えば、「借金(=財政赤字)を、どれだけ拡大しているのかが、緊縮か否かのバロメーター」です。

デフレ期には政府による財政赤字が「貨幣量の不足(=総需要の不足)を埋める」という事実を彼は知らない。

一方、実は自民党内には安藤裕衆議院議院が呼びかけ人代表を務めている「日本の未来を考える勉強会」というまともな会があります。

先日、「日本の未来を考える勉強会」は、次のような提言を発表されました。

『デフレ不況から完全に脱却し、日本経済を成長路線に乗せると同時に、 財政再建を果たすために必要な財政政策に関する提言』
https://www.andouhiroshi.jp/wp/wp-content/uploads/2018/05/62e04b2beb720db169bf64ec9d395bef.pdf

この提言書のポイントは、デフレ経済という現状を認識された上で「消費増税凍結」と「プライマリーバランス黒字化目標撤回」を求めている点です。

もしもこの提言が、自民党総務会で正式決定されていれば、日本も自民党も変われたのに…

しかし自民党総務会はこの報告書をほとんど無視し、岸田氏が委員長を務める提言書『財政再建に関する特命委員会報告』を総務会として了承したわけです。

残念です。