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議会報告 政治・経済

自由貿易論者の「ありえない前提」2018/05/05    

どうして我が国の政治家は、与野党ともに「自由貿易」なる幻想に大いなる期待を抱いているのでしょうか。

昨日も、ベトナムを訪問している自民党の岸田政調会長が「早急なるTPP発行」について言明されました。

『TPP発効後の協力確認
https://jp.reuters.com/article/idJP2018050401001709

自民党の岸田文雄政調会長は4日、訪問先のベトナムでグエン・スアン・フック首相と会談した。日本、ベトナム両国が参加する環太平洋連携協定(TPP)を早期に発効させ、貿易や投資で協力を強化する重要性を確認。議員間をはじめ、両国の交流を促進する方針でも一致した。(後略)』

そもそもTPPは、自由貿易なのでしょうか?

百歩譲って、仮にそうであったとしても、どうして自由貿易が必ず我が国に繁栄をもたらすと確信できるのでしょうか?

「自由貿易は自由な貿易だから良いのです」と、竹中平蔵先生みたいな説明をされても私には理解できません。

歴史を紐解いてみると、産業革命後のイギリスはインドに対して「自由貿易」を主張しましたが、綿産業の競争力が弱かった産業革命以前はインドに対して「保護貿易」を主張しています。

保護貿易により競争力を強化し、競争力が強化されたら今度は「自由貿易」をインドに強要したわけです。

では、自由貿易を受け入れたインドはどうなったか?

イギリスによって植民地化されました。

家内制手工業のインドと工場制機械工業のイギリスが自由貿易をやったら、インドに勝ち目などあるはずがありません。

更にはインドの綿産業が壊滅しただけで話しは終わらず、なんと植民地化された末、インドの穀物栽培が悉く綿花栽培に切り替えられてしまったため、ちょっとした飢饉でも大量の餓死者が出るようになりました。

イギリスの植民地になって以降、約2,000万人のインド人が飢餓で死んでいます。

即ち、竹中先生の言う「自由な貿易」が、結果として2,000万人のインド人を餓死せしめるに至ったのです。

さて、前述のとおり、仮にTPPが自由貿易であったとして、その効果とはどのようなものなのでしょうか?

内閣府によれば、TPPの経済効果は「新たな成長経路に移行した時に13兆円のGDPが増える」とされています。

ところが 「新たな成長経路に移行する」のがいつなのか、については触れられていません。

しかも、その13兆円だって、1年間で13兆円ではなく、たしか10年間で13兆円みたいな話しです。

年間に換算したら、たった1.3兆円程度です。

また、その1.3兆円(×10年)だって、TPPによって失業したすべての労働者が、次の日から新たな雇用にありつける、という前提になっています。

そんなバカな。

更に深刻なのは、TPPによって、医療、介護、保険、食料、エネルギーなど、国民生活を守るための様々な安全保障が破壊されていくことになります。

…たった1.3兆円(×10年)のために。

一方、愚かにも米国は、中国を自由貿易に引き入れれば「彼の国が米国による一極秩序に挑戦するようなことはなくなるだろう」という国家戦略から、2000年に中国をWTO(自由貿易協定)に加盟させました。

その後、2011年までの間に、中国からの輸入増加によって米国では240万人の雇用が失われたといいます。
典拠:http://www.nber.org/papers/w21906.pdf

前述のとおり自由貿易論者によれば、失業者は次の日から新たな職場で働くことが可能である、とされています。

ぜひ、米国で失業した240万人に訊いてみたい。

失業した翌日から「どのような職場で働くことができたのか」を…