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議会報告 政治・経済

「財出派」と「緊縮派」 の攻防2018/04/23    

IMF(国際通貨基金)の古沢副専務理事が、ロイターのインタビューに対し、日本銀行の「国債買い入れ量の説明」に改善の余地があると指摘されました。

『日銀、国債買い入れ量の説明に改善余地=古沢IMF副専務理事
https://jp.reuters.com/article/imf-furusawa-boj-idJPKBN1HT05F

国際通貨基金(IMF)の古沢満宏・副専務理事(元財務官)は21日(現時時間)、ロイターとのインタビューに応じ、日銀の金融政策を支持するが、
~(中略)~「量的な部分で(国債買い入れについて示している目途と)実際買っている額が違うので、日銀の本当の意図がどこにあるのか、市場がわからなくなるような部分があるのかもしれない。コミュニケーションをきちんと取っていくということの重要性は日銀も認識しているだろう」と述べた。「年間80兆円」国債保有を増やすと発信しつつ、年率換算40-50兆円の買い入れにとどめている現状について、改善余地があるとの見解を示した格好だ。(後略)』

現在、日本銀行は2%の物価目標を達成するために量的緩和(国債の買い入れ)を行っています。(※デフレ脱却には2%以上の物価上昇が必要だから)

その買い入れペースについて日銀は、概ね「年間80兆円」と広報しているのですが、実際にはその半分程度(40-50兆円)の買い入れに留めています。

要するに、古沢IMF副専務理事は「日銀による国債の買い入れそのものについては支持するけれど、買い入れの額については言っていることと、やっていることが違うんじゃないの!」と言っています。

それを柔らかくして「説明に改善に余地があるでしょ」と指摘されているわけです。

とはいえ、日銀にだって買い入れ量を減らさざるを得ない事情があります。

それは、市中の国債が既に枯渇しているからです。

日銀に国債を売ってくれるのは、主として民間金融機関です。

上のグラフは、あくまでも2017年12月末時点の保有割合ですが、現時点において既に日銀の保有量は45%に達しているものと推察されます。

一方、その民間金融機関の国債保有量は僅か16.7%しかないので、年間80兆円のペースで買い入れることが困難になっています。

民間金融機関も長期資金を安全資産で運用しなければならないので、保有している国債のすべてを放出するわけにはいきませんし、生損保や年金基金についてもビジネスモデルを崩してまで日銀に国債を売ってくれるはずがありません。

要するに、政府が緊縮財政によって国債を発行しないがために日銀が追い込まれている格好です。

どんなに日銀が国債を買い入れたところで、政府が国債を発行し財政出動しないかぎり、絶対に物価は上昇せず、デフレ脱却できないことはこの5年間の経験で明らかです。

日銀の金融政策は、いわば柔らかい紐みたいなもので「引く」ことはできても「押す」ことができない。

つまり、インフレ期における金融引き締め(「引く」)の際には効果を発揮しますが、デフレ期における金融緩和(「押す」)の際には効果を発揮しません。

もしかすると古沢IMF副専務理事は「政府による財政出動の必要性を日銀が説明すればいいじゃないか」と、日銀に助け舟を出しているのでしょうか?

因みに、国債発行と財政出動の抑制という「緊縮財政」を主導しているのは財務省です。

6月に取りまとめられる「骨太の方針2018」で、もしも「PB黒字化目標」が設定されてしまうと、財政出動(国債発行)の道が完全に断たれることになります。

そうなれば、デフレを脱却できないまま日銀の量的緩和は強制終了され、日本経済は壊滅的な状態になります。

まったく報道されることがありませんが、まさに今、官邸筋では「骨太の方針2018」をめぐって「財出派」と「緊縮派」の凄まじい攻防が繰り広げられています。