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議会報告 政治・経済

雇用は増えたが…2018/04/09    

日本経済新聞に、「アベノミクスによって雇用は増えたが、賃金水準の低いサービスに雇用が集中しており、手取り収入が増えず労働の質は高まっていない」という記事がありました。

『雇用は増えたが… 生産性・賃金低いサービス業に集中
高度成長期と異なる構図
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO29130260X00C18A4EA3000/

2012年にアベノミクスが始まってから日本の雇用は100万人以上増えた。ただ増加分の8割は女性で、賃金水準が低い介護などのサービス業に集中。さらに、データをみると労働生産性が高い製造業が構造調整で人手を減らす一方、生産性が低いサービス業に労働力が集まる姿が浮き彫りになっている。完全雇用といわれる状態でも手取り収入は増えず、労働の質は高まっていない。(後略)』

まさにそのとおりです。

いわゆる団塊の世代(1947~1949年生まれ世代)が退職したのち、デフレによりデレバリッジやコストカットを常態化させている企業は、なるべく正規社員を雇用せず、非正規やパートタイム労働者で新規雇用をカバーしています。

なので、統計上は就業者数が増えているものの、労働者が働くことのできる時間は増えていません。

因みに、4月6日に発表された2月の実質賃金(速報値)をみますと、下のグラフのとおり、また下がりました。

賃金水準(生産性)の低いサービス業に雇用が集中している最大の理由は、グローバリズムと情報技術の発達にともなう企業のオフショアリングです。

とりわけ情報技術の発達は、コンピュータのプログラミングをはじめ、エンジニアリグ、建築設計、会計などなど、かつては国内にとどまっていたサービス産業を、電子媒体を通じて海外へのアウトソース(外注)を可能にさせました。

そのことが、より安いコストを海外に求めるグローバル企業にとって大きな利益となったのです。

これが、いわゆるオフショアリングです。

こうした非対人サービス業のオフショアリングが進んだことで、先進国の国内に残ったのは電子化しにくい対人サービス業です。

介護分野や飲食業などが典型ですが、対人サービス業は、対人であるがゆえに時間あたりの生産性を向上させ難い特質をもちます。

生産性を向上させ難いために、どうしてもコストに対して料金設定は割高になります。

割高になるから、需要は飛躍的に伸びない。

需要の伸びにくい対人サービス業に雇用を求める労働者が増えるのですから、賃金が下落するもの当然です。

グローバリズムやオフショアリングが、とりわけ先進国の中間層を破壊していくのはそのためです。

前述の日本経済新聞の記事に「高度成長期と異なる構図」とありますが、あの当時はグローバリズムではなく国民経済が重視されていた時代だった、ということです。

あのころ経団連の会長をされていた石坂泰三さんや土光敏夫さんたちは、現在の経団連の会長たちのように「企業が国を選ぶ時代だ」なんて絶対に言いませんでした。

企業はあくまでも「国民や国家の公器である」と考えていたはずです。

グローバル企業や投資家は国を選べても、所得で稼ぐ国民は国を選べません。

国民のみならず、国内の中小零細企業もしかりです。

グローバリズム経済は、あくまでもグローバル企業やグローバル投資家たちのための経済システムであって、国民のための経済システムではありません。

私たちは一刻も早く、国民主義の経済を取り戻すべきです。