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議会報告 政治・経済

都合の悪い統計を無視する政府2018/03/18    

実質賃金は、国民の「豊かさ」を示す代表的指標といっていい。

3月9日に厚生労働省から発表された1月の実質賃金(きまって支給する給与)は、なんと -1.4%(速報値)という極めて衝撃的な数字でした。

下のグラフのとおり、一昨年(2016年)の9月以降、実質賃金(きまって支給する給与)は一度もプラスに転じたことがなく、ただただ下がり続ける一方です。

きまって支給する給与、即ち恒常的に支払われる給与が下がり続けているのですから、これはまさに国民の貧困化であり、実に深刻な経済情勢です。

ここで、実質賃金についてお浚いしておきます。

例えば、労働者の額面給与(名目賃金)が上がったとします。

しかしそれ以上に物価(インフレ率)が上昇してしまった場合、実質的な賃金は下落したことになってしまいます。

一方、額面給与(名目賃金)が上がりも下がりもしないまま、デフレによって物価(インフレ率)が下がってしまった場合、統計上は実質賃金が上昇したことになってしまいます。

これを「デフレ型実質賃金の上昇」といい、これまた不健全な経済情勢です。

つまり、額面給与(名目賃金)の上昇率が、物価(インフレ率)の上昇率を上回った状態こそが、健全な経済情勢です。(但し、インフレ率2~5%程度のマイルドなインフレ経済が前提)

さて、1月の実質賃金を大幅に下落させた主因は「生鮮食品」の値上がりです。

生鮮食品の1月インフレ率をみると、なんと12.5%であり、ひときわ突出していました。

それでいて、額面給与(名目賃金)がほとんど上昇していないために、実質賃金が大幅に下がってしまったわけです。

詰まるところ、実質賃金は、①インフレ率、②労働分配率、③生産性上昇率の3つで決定します。

ご承知のとおり、1990年代以降のグローバリズム経済の弊害によって、我が国の労働分配率は下がり続けています。

また、1月のパートタイム労働者数をみますと、対前年比で0.33%の増加でした。

更に我が国では、生産年齢人口比率の低下によって人手不足が深刻化しています。

これらの問題を総括すると、次のような結論に至ります。

…企業は労働分配率を引き上げず名目賃金を抑制し続けている ⇒ それでいて人手不足をパートタイム労働者でカバーしている ⇒ 結果、実質賃金が低迷!

…ということになりましょうか。

にもかかわらず内閣府の月例経済報告は、「(それでも)景気は緩やかに回復している」と言い張っています。

『景気判断維持、物価「横ばい」から「緩やかな上昇」に=月例報告
https://jp.reuters.com/article/monthly-report-japan-idJPKCN1GS0XP

内閣府は16日の関係閣僚会議で3月の月例経済報告を提示した。景気は「緩やかに回復している」と3カ月連続で同じ表現とし、判断を据え置いた。先行きに関しても緩やかな回復を見込む一方、「海外経済の不確実性や金融資本市場の変動の影響に留意する必要がある」とした。(後略)』

ここまで実質賃金のマイナスが続いているのに「緩やかな回復」はないでしょう。

都合の悪い統計を無視するのは、止めてほしい。