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議会報告 政治・経済

労働分配率と株主資本主義2018/03/15    

労働分配率は、生産されたモノやサービス対しての人件費の割合を示す指標です。

即ち、会社の生産するモノやサービスから得られた「新たな所得」のうち、どれだけ人件費に分配されたかを示します。

もっとざっくばらんに言えば「日本全体で、企業の儲けがどれだけ人件費に回されたのか」です。

内閣府によれば、労働分配率の推移は下のグラフのとおりです。

労働分配率には、いくつかの定義があります。

上のグラフは、あくまでも内閣府の定義する「労働分配率」です。

※内閣府定義の労働分配率 = 雇用者報酬 ÷ 国民所得(雇用者報酬・財産所得・企業所得)×100

しかしながら私は、本来の労働分配率は「企業の粗利益に占める人件費」でみるべきだと思っております。

その定義で労働分配率をみると、下のグラフのとおりです。

ご覧のとおり、日本がグローバリズムに基づく構造改革を進めはじめた1990年以降、なんと10%以上も下がっています。

労働分配率が低下した分の利益はどこへ向かったのでしょうか。

むろん、主として株主配当や自社株買いに向かい、グローバリズムの主役ともいえる株主たちの利益が最大化されてきたわけです。

これが、株主資本主義です。

つまりは、「モノやサービスを生産し所得で暮らす国民よりも、グローバルに展開する株主様のほうが大事っ!」という世界です。

生産年齢人口比率が低下する今後の日本では、この労働分配率を引き上げないことには企業が人手を確保することができないでしょう。

とはいえ、その人手不足が、もしも外国人労働者の受け入れによって穴埋めされた場合、我が国の労働分配率は一向に上がることなく、所得で暮らす日本国民はいつまで経っても貧困化するばかりです。

外国人労働者の受け入れに拠らず、生産性向上のための各種投資により人手不足を解消し、政府は株主資本主義に基づく構造改革を直ちに止め、「企業は社会の公器である」というお従来の公益資本主義に基づいた健全な経済社会を構築することができれば、再び我が国は高度経済成長を成し遂げることが可能です。

私たちは今、その岐路に立っています。

さて、労働分配率といえば、今年の春闘(年春季労使交渉)では、前年を上回るベースアップで基本給を底上げする大手企業が相次ぎました。

『春闘 労使交渉、異例づくし トヨタ、ベア額を非公表
https://mainichi.jp/articles/20180315/k00/00m/020/120000c

2018年春闘は集中回答日の14日、主要企業の労使が前年を上回るベースアップ(ベア)で妥結し、前年割れが続出した昨年から状況は一転した。(後略)』

「3%以上の賃上げをしてくれぇ~」という安倍総理のご意向に、大手主要企業が忖度した形となりました。

どうやら安倍総理は、公式の場では「デフレを脱却しつつある」と言いながらも、日本経済が未だデフレを脱却できていないことを本音では認識しているようです。

あまりにも回りが忖度してくれるものだから、自ら事を起こそうとしないのが総理の悪い癖です。

企業に賃上げを要求するぐらいなら、企業が忖度なしに賃上げしたくなるような経済財政政策を総理自らが打てばいい。

それができる立場におられるのだし…

一方、財務省は森友学園への国有地払い下げでは安倍総理に忖度できても、デフレ脱却ための財政出動だけは絶対に忖度しない。

その財務省をねじ伏せて、デフレ脱却のための財出を断行できる政権こそが今求められていますが、安倍内閣ではどうやら不可能のようです。

理財局による文書改竄問題がどのような幕引きなるか分りませんが、仮に安倍内閣が総辞職に追い込まれたとしても、次期総理候補とされる人たちの顔ぶれをみますと、ことごとく財務省が喜びそうな緊縮財政派ばかりです。

その中で誰が総理大臣になっても、おそらくは安倍政権以上の「緊縮財政」と「構造改革」が進められる可能性が大です。

まさに、進むも地獄、進まざるも地獄のごとき状況です。