〒214-0012
川崎市多摩区中野島3-15-38-403
TEL:044-934-3302 / FAX:044-934-3725



議会報告 政治・経済

長期金利と財政出動2018/03/14    

米国の長期金利が騰がっています。

2018年2月現在、長期金利の指標となる米国10年物国債利回りは2.9%で、いよいよ3%に迫る勢いです。

米連邦準備理事会(FRB)が2015年12月に9年半ぶりの利上げを行って以降、2016年12月、2017年3月、6月、12月と合計5回、政策金利を毎回0.25%引き上げてきましたので、それに伴って長期金利も上昇した格好です。

一方、米国の政策金利が引き上げられると、必ず日本では「日米の金利差から円が売られ円安になる」という解説が自称・専門家たちから為されます。

ところが現実には、下のグラフのとおり、2016年の暮れを除いては、米国の政策金利の上昇はむしろ円高圧力になっています。

2016年の暮れに円が売られたのは、ちょうどトランプ氏が米大統領に就任した時ですので、このときは金利とは別の要素で円が売られたものと推察します。

さて、「日米の金利差によって円が売られる」と主張する識者たちの理論は次のとおりです。

…「金利の低い日本に投資されていた資金が引き上げられ、その引き上げられた資金が今度は金利の高い米国に向かうことになる だから円が売られドルが買われる!」…という理論です。

実に専門家らしからぬ単純な発想なわけですが、現実は全く逆で、グローバル投資家らは金利の安い日本(円)で資金を調達し、その円をドルに換え、さらにそれを例えばブラジルなどの新興国に再投資しています。

これを“円キャリートレード”と言います。(むろん、すべての投資が円キャリートレードなわけではありません)

そこで、米国の中央銀行たるFRBが政策金利を引き上げると、新興国に投じていた資金が引き上げられることになります。

そのとき、元手資金として借りていた日本資金を返済することになるわけですが、日本資金の返済はもちろんドルではダメで、投資家らは円を買って返済することになります。

米国が政策金利を引き上げることで円が買われるのはそのためです。

こうした一連の為替取引の流れを“円の巻き戻し”と言います。

「日米の金利差で円高になるぅ~」と叫んでいる識者たちの思考には、“円キャリートレード”や“円の巻き戻し”の概念が存在しないようです。

それだけでも専門家として失格だと思うのですが、彼ら彼女らは何事もなかったように笑顔で性懲りもなくテレビに出てきます。

恥を知らない人は恐ろしい。

論語には「恥を知るは勇に近し」という言葉がありますが、残念ながら現在の日本のTV界では勇に及ばない人たちが主流派です。

問題は、米国の長期金利を上げている主因は何かです。

長期金利(米国10年物国債の利回り)の上昇は、米国10年物国債が売られていることを意味します。(債券は売られるとその金利が上がり、変われるとその金利が下がる)

なぜ売られているのか?

トランプ米大統領が、大がかりな公共投資(財政出動)を行うことをコミットメントしているからです。

財出による景気拡大は、むろん企業業績にとってプラスです。

自然、株価の上昇が見込まれます。

それを見越した投資家たちが、投資資金を米国債から株式市場に移しているわけです。

現に米国では、長期金利の上昇とともに株価も上昇しています。

では、日本の長期金利はどうなっているか?

現在、我が国の10年物国債の利回りは0.045%(2018年3月13日時点)です。

この数字は、日本国債の価値が途轍もなく高く、日本経済が超デフレであり、民間銀行に資金需要がないことを強烈に示しています。

要するに、日本政府に国債発行(財政出動)の余地が十分にあることを示しています。

このことからも、日本の「財政破綻論」がいかに空虚なものかが解ります。