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議会報告 政治・経済

貨幣乗数 2.092018/03/12    

我が国の貨幣乗数が、深刻なほどに下がり続けています。

ものすごーく大雑把に言うと、貨幣乗数とは「日銀が発行したベースマネー(現金通貨)が、何倍の現預金(マネーストック)を世の中で生み出しているのか」という指数です。

計算式は、マネーストック ÷ マネタリーベース = 貨幣乗数 です。

景気が良くなれば良くなるほどに、あるいはインフレ率が上がっていけばいくほどに世の現預金(マネーストック)は増えていきます。

逆に、デフレになるとマネーストックは減少し、貨幣乗数も低下していきます。

下のグラフのとおり、日本の貨幣乗数は第二次安倍政権発足以降、急速に下がり続け、2018年2月時点で2.09にまで低迷しています。

貨幣乗数 2.09は、凄まじいいほどのデフレ不況で苦しんだ、あのフランクリン・ルーズベルト大統領時代の米国よりも低い数値です。

当時の米国経済がデフレ化した要因は、1929年のウォール街の大暴落と、フーバー政権による緊縮財政でした。

いつの時代でも、「バブル崩壊」と「緊縮財政」はデフレ化2点セットです。

因みに、デフレ不況で支持率を下げていたフランクリン・ルーズベルトは、日本に戦争を吹っかけることで米国経済をデフレから脱却させました。

どうして戦争によってデフレを脱却できたかといえば、戦争を遂行するために米国政府が歳出を拡大したからです。

即ち、政府歳出の拡大によって米国経済の需要不足が解消され、それまで民間銀行に眠っていた資金がアクティブマネーとなって動き出したわけです。

断っておきますが、だからといって「戦争が必要だ」などと言っておりませんのでご注意を。

ポイントは、政府による歳出拡大がデフレ脱却をもたらした、という点です。

当時の米国は財政出動の目的が「戦争の遂行」だったわけですが、現在の我が国においては、財政出動の目的を例えば「防災対策の遂行」としたならどうでしょう。

昨日のブログでも申し上げましたとおり、我が国では過去2000年のあいだに、東日本の太平洋沖で4回(2011年に東日本大震災を除く)の巨大地震(M8クラス)が発生しています。

その4回のうち、すべてのケースにおいて、首都圏では10年以内に、西日本では18年以内に必ず大地震が発生しています。

例えば東京圏(東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県)の人口は約3,500万人ですが、この世界最大のメガロポリスでマグニチュード8クラスの巨大地震が発生したとき、一人の犠牲者も出さないための防災インフラを整備するには官民合わせて約3,000兆円の予算を要すると言われています。

これを10年計画で行えば年間300兆円の需要創造であり、20年計画で行えば年間150兆円の需要創造であり、30年計画で行えば年間100兆円の需要創造になります。

いずれにしても、これだけの需要創造が為された場合、間違いなく日本はデフレから脱却できます。

そこで問題視されるのが、いわゆる「財源」です。

ところが、財源なんて実は然したる問題ではありません。

より重要な問題は、その需要を満たすために必要な「供給能力」です。

仮に官民合わせて3,000兆円ものおカネが工面できたとしても、それだけの仕事を請け負う建設業者や土木業者、あるいは建設資材の供給は絶対的に足りません。

供給が追いつかなければ、建設資材は高騰し、公共事業の設計単価も上がっていくことになります。

どんなに政府が国債を発行しようとも、それが自国通貨建て国債であるかぎり、最後は中央銀行(日銀)が引き取ることで政府債務は解消されます。

つまり、おカネなんてどうにでもなるのですが、それに適うだけの供給能力が存在しなければ、国民経済は悪性インフレに見舞われてしまうのです。

このように考えていくと、国力というものの本質が見えてきます。

大事なのはおカネなんかじゃない。

需要を満たすための供給能力です。

そうした供給能力を強化・維持するため、政府による機動的な財政政策が今こそ求められています。

これ以上のデフレ化は、益々もって虎の子の「供給能力」を毀損していきます。

貨幣乗数2.09は、まさに国難を示しています。