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議会報告 政治・経済

経済財政諮問会議と財政出動2018/02/27    

あの経済財政諮問会議で「財政出動」の議論が出てきたようです。

経済財政諮問会議とは、内閣府設置法に基づいて設置された合議制機関のことで、政府の経済財政政策に関して、有識者らしき人たちの識見や知識とやらを活用し内閣総理大臣のリーダーシップを存分に発揮させる機関なのだそうです。

因みに、この会議には、いわゆる「民間議員」と呼ばれる人たちが入っています。

民間議員といっても、べつに公職選挙法に基づいて選ばれたわけでもないのに、彼らは政府の政策決定過程において国会議員以上に一定の影響力を振るっています。

なので、これを「国民主権の侵害じゃないか」とする意見もでています。

経済財政諮問会議のメンバーは次のとおりです。

⇒経済財政諮問会議メンバー
議長 安倍 晋三(内閣総理大臣)
議員 麻生 太郎(副総理 兼 財務大臣)
同  菅  義偉(内閣官房長官)
同  茂木 敏充(内閣府特命担当大臣 兼 経済再生担当大臣)
同  野田 聖子(総務大臣)
同  世耕 弘成(経済産業大臣)
同  黒田 東彦(日本銀行総裁)
同  伊藤 元重(学習院大学国際社会科学部教授)
同  榊原 定征(東レ株式会社 相談役)
同  高橋 進(日本総合研究所理事長)
同  新浪 剛史(サントリーホールディングス株式会社 代表取締役社長)

赤色のメンバーが、いわゆる「民間議員」です。

ロイターの報道によれば、この経済財政諮問会議において、大幅な財政出動を求める声がでているようです。

『諮問会議に大幅財政出動求める声、消費増税効果吹き飛ぶ危険
https://jp.reuters.com/article/fiscal-spending-idJPKCN1GA0OY

2019年10月に予定されている消費税10%への引き上げをめぐり、経済政策の司令塔である経済財政諮問会議の中で、大幅な財政出動を求める声が大きくなっている。需要のぶれをならし、景気後退を避ける狙いがあるが、財政再建の「原資」が吹き飛びかねないとの懸念も民間の専門家から出ている。新たな財政出動の是非を巡って大きな論争が政府と民間の間で起きる可能性がある。(後略)』

後略部分の記事を読むと、さすがに伊藤元重さんは財政出動には慎重な姿勢を示しているようです。

この御仁はこれまで、ひたすらに「このままでは日本は財政破綻するぅ~」と、まるでオオカミ少年のように日本財政破綻ファンタジーを叫び続けてきた人です。

いったい、いつになったら破綻するのか…

さて、昨日(2月26日)のブログでも申し上げましたとおり、我が国は1998年以来のデフレ経済によって、この20年間で約900兆円もの所得を失っています。

デフレ経済物価と所得の相乗的な縮小国民の貧困化国の発展途上国化

このデフレを脱却できない最大の理由は、みんな(各経済主体)が貯蓄に走るからです。

マクロ経済的には、貯蓄に走っていい経済主体は家計のみ。

そして実体経済においては「貯蓄」は悪です。

なぜならその分、誰かが稼ぐべき所得が減るからです。

むしろ経済成長の源泉は「借金」です。

そして借金の主役を担うべき存在は、企業という経済主体です。

政府の収支はトントンで、唯一、家計だけが貯蓄を増やす、これこそが理想的な国民経済です。

ただし、需要の拡大を見込めないデフレ期においては、企業は借金をしてまで投資や消費を拡大しないので、借金の主役は主として政府になります。

ところが、その政府が貯蓄に走ってしまうと、ますますデフレ化します。

下のグラフのとおり、政府の貯蓄率の推移をみますと、小泉内閣及び第2次安倍内閣時代の緊縮財政(貯蓄拡大)が、実に凄まじかったことが解ります。

※因みに、マクロ経済では「借金の返済」も貯蓄に含まれます。

一方、企業の貯蓄率はバブル崩壊以降、ずっとプラスです。

マクロ経済的には、企業の貯蓄率はマイナスになっているのが正常です。(好景気になると、企業の貯蓄率は必ずマイナスに転じます)

更に今度は、家計の貯蓄率をみてみましょう。

グラフをみますと、小泉内閣(2001~2006年)時代とリーマン・ショックのときに、家計は貯蓄を取り崩していたことがよく解ります。

更に、地方自治体の貯蓄率をみますと…

ご覧のとおり、1998年にデフレ化して以降、地方自治体も急激に貯蓄に走り、ついには2006年の段階で貯蓄率はプラスに転じています。

つまり、全国の地方行政もひたすらに緊縮財政に走ってきたわけです。

家計が貯蓄率を高めるのは当然のこととしても、他の経済主体、即ち中央政府、地方政府、企業までもが貯蓄(借金返済も含む)に走っているのですから、内需が縮小するのも極めて当たり前の話しです。

デフレを脱却するには、地方行政を含めた政府の歳出拡大が必要です。

ポイントは、前述の経済財政諮問会議が6月に発表する、いわゆる『骨太の方針2018』(2018年の経済財政の基本指針)で、れいの「プライマリー・バランス黒字化目標」という言葉を削除できるかどうかです。

このドグマが削除されないかぎり、政府の歳出拡大は不可能となります。

悲しいかな…我が国の経済は、国民が選挙で選んだ国会議員ではなく、選挙で選ばていない経済財政諮問会議の「民間議員」とやらに委ねられています。

前述のロイターの記事をよく読んでみますと、経済財政諮問会議で議論されている財政出動は、あくまでも来年に予定されている消費税増税(8%→10%)とセットのようです。

つまり、消費税増税(8%→10%)によって景気が減速するから、それを補うための財政出動が必要なのではないか…という、なんとも情けない議論です。

残念ながら、消費税増税に伴う需要縮小効果(景気悪化)は、単年度の財政出動などでは賄いきれません。

消費税増税のネガティブインパクトは、何年にも及ぶからです。

なので必要なのは、消費税増税を凍結した上での財政出動です。

そうした議論を今の経済財政諮問会議に求めても無理なことかもしれませんが…