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議会報告 政治・経済

企業は社会の公器2018/02/20    

昨年の暮れ、「品質データの改ざんを執行役員3人が認識していた」と発表した神戸製鋼所。

その翌日には東レが、子会社の品質データの改ざん問題に関する有識者委員会の報告書を公表しています。

また、三菱マテリアルの子会社においても品質データの改ざんが見つかっていますが、不正の全容は昨年末までの調査で解明されることはなく、その後も内部通報などで次々と更なる不正が発覚しています。

更に先週2月14日には、東芝テックが海外子会社で不正会計があったと発表し、原子力規制委員会からは、高レベル放射性廃棄物の最終処分に向けた基礎試験のデータを、試験を請け負った神戸製鋼所の子会社が改ざんしていた可能性があると発表されています。

その他にも、三菱自動車による燃費試験のデータ改ざん、日産による無資格検査員の最終検査、東芝による利益水増し不正会計などなど、日本企業の不祥事は記憶に新しいところです。(注:日産は、もはや日本の企業といえるかどうか疑問ですが)

むろん、すべての日本企業が不正に手を染めているわけではありませんが、一連の不正ならびに改ざん発覚の背景には、何らかの共通問題があるように思えてなりません。

もったいぶらずに結論から申し上げますが、それは「グローバリズム」及び「構造改革」の名のもとに進められてきた「株主資本主義(企業は株主のモノ)」の歪みではないかと思われます。

今からおよそ半世紀前、東京芝浦電気社長であった石坂泰三さんや土光敏夫さんらが経団連(日本経済団体連合会)の会長をされていた頃の日本では、あくまでも「企業は社会の公器」であって、今日の経団連やネオリベラリストが言うような「企業は株主のモノ」ではありませんでした。

社会の公器とは何か?

それは、企業とは顧客のためのみならず、従業員のため、仕入れ先のため、地域社会のため、株主のため、経営者のため、国家のために存在する公器であるという企業価値観です。

一方、株主資本主義は、企業はあくまでも社会の擬態であって、株主と経営者のために存在しているのであり、国民や国家などどうなろうと構わないという空恐ろしい企業価値観です。

もしもこれを石坂さんや土光さんらが聞いたら、さぞ驚かれるに違いありません。

「企業は株主のモノ」という、いわゆる株主資本主義の流れは、1980年代に英国や米国からはじまり、我が国では1990年代から「グローバリズム」と「構造改革」の名のもとにはじまりました。

結果、我が国の労働規制は次々と緩和され、非正規社員や派遣社員の数は年々増えてゆき、更には労働分配率も引き下げられるなどして企業の人件費縮減圧力が増していきます。

むろん、その最大の受益者は株主と経営者です。

因みに、韓国のグローバル企業では、韓国国民の雇用は縮小する一方で、給料とは別に年間60億円の配当金を受け取っている経営陣がいます。

グローバリズムで先行する韓国は、既に株主資本主義の植民地といっていい。

企業会計上、株主配当の原資は企業の純利益です。

純利益 税引き前利益 - 法人税

その純利益を最大化するための税制改革(構造改革)が法人税の減税です。

法人税の減税によって生じる税収不足を補うための財源が、何を隠そう「消費税の増税」だったのです。

要するに、株主資本主義は国民のためのシステムではなく、あくまでも株主と経営者のためのシステムなのです。

しかしながら、受益者の一翼を担う経営者でさえも、株主資本主義の世界では何といっても株主様にはかないません。

グローバル株主様から「もっと四半期で利益をあげろ!」「もっと人件費を下げろ!」「もっとコストカットを行え!」「もっと株主配当を増やせ!」と言われてしまうと、経営陣は「はい、かしこまりました」と言わざるを得ないのです。

カネ・ヒト・モノの国境を越えた自由が最大化されたグローバリズム社会では、企業は低賃金労働者を海外に求め、より法人税の安い国に本社を移し、株価が割安になってしまった企業の株は瞬く間に買収されてしまいます。

よって、グローバル企業の経営陣にとっては「従業員の給料や生活なんかよりも株価と配当金のほうが大事」となってしまうわけです。

それでも株主様から「もっと利益を上げろ!…四半期で!」の圧力は終わらない。

その行き着いた先が、今日騒がれているデータ改ざんや不正だったのではないでしょうか。

株主資本主義は、あくまでもグローバル株主の利益であって、国民の利益ではありません。

日本を一刻も早く“企業は社会の公器である”という真っ当な資本主義の国にしなければならないと思うのです。