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議会報告 政治・経済

グローバリズムは民主主義の否定2018/02/11    

たしか5日ぐらい前のことだったと思いますが、米国のティラーソン国務長官はTPP(環太平洋経済連携協定)について「トランプ大統領はTPPを一蹴しているわけではない」と発言し、改めてトランプ政権がTPPへの復帰を検討する方針を示しました。

ティラーソン国務長官の発言は、先月末のダボス会議でのトランプ米大統領によるTPP復帰検討発言を後押しする形となりました。

TPP推進派の小泉進次郎議員がいかにも小躍りして喜びそうなニュースです。

就任当時のトランプ米大統領がTPPの離脱を決めたのは、TPPがあくまでもグローバル企業やグローバル投資家らの利益を追及する協定であって、米国国民の利益につながる協定にはならないと判断したからです。

それを小泉進次郎さんは、「米国が離脱したのは、日本政府がTPPを日本に有利な協定にしたことの結果だ」みたいなことを言っていました。

誠におめでたいですね。

トランプ米大統領による突然の「TPP復帰検討」の真の理由は定かではありません。

ひょっとしてTPP参加を望むウォール街の声を、さすがのトランプ米大統領もこれ以上は無視できない状況に追い込まれているのでしょうか。

あるいは米国の政権中枢が、北朝鮮危機という日本の安全保障上の危機を背景にすれば、日本政府からもっと大きな譲歩(米国企業に有利となる日本市場の開放)を引き出せると判断したのかもしれません。

さて、企業が自己利益のために自由に国を選ぶことのできるシステムを「グローバリズム」というのであれば、TPPやFTA(二国間自由貿易協定)などのグローバリズム路線を推し進めていくと、残念ながら米国企業の利害と米国国民の利害は一致しなくなります。

それは日本においても同様で、グローバリズムや新自由主義的政策(株主資本主義的政策)を進めていけば、当然のことながら日本企業の利害と日本国民の利害は一致しなくなります。

例えば韓国が強引に締結させられた米韓FTAはどうだったでしょうか。

韓国政府としては、この米国との二国間協定において、お米の関税だけはなんとか守り切ったものの、他の輸入品に対する関税はほぼ撤廃させられてしまいました。

一方、自動車やテレビなどの分野で米国の輸入関税が取り払われたものの、既に韓国の輸出産業は米国での現地生産体制を維持しているためあまり関税撤廃による恩恵を受けていません。

韓国の輸出企業の多くは既に関税の向こうにいたわけです。

また、韓国では小型自動車を得意とする韓国企業に有利だった税制が、なんだかんだと理由をつけられて米国が得意とする大型自動車の販売に有利な税制に変えさせられました。

しかも韓国国民の健康と韓国の環境を守るための自動車排ガス規制は米国基準に変更させられています。

また安全基準規制については、ひきつづき国内の自動車産業には有効としつつも、なぜか米国企業への規制は一時的に猶予期間が設けられることになりました。

いかにも片務的です。

ほかにも、韓国の農協や漁業などの共済保険、即ち韓国の各組合が運営している共済保険がことごとく解体させられ、韓国の共済保険市場はハイエナ外資の食い物と化しました。

あるいは、韓国の製薬会社が韓国国内で安価な薬を販売した場合、米国の製薬会社が韓国の規制当局(韓国政府)を訴えて、米国の製薬会社に有利になるような薬価変更が可能となっています。

さらには米国の大統領が言っているように、米韓FTAによって米国には7万人の新たな雇用が創出されたとのことですが、それは翻ってみれば7万人の韓国国民の雇用が奪われたことを意味します。

要するに、韓国国民の命や健康、あるいは韓国国民の暮らしや環境を守るための民主主義に基づく政策決定を、韓国国民が自らの手で行使することのできない協定…それが米韓FTAだったのです。

同じように、トランプ米大統領は日本に対しても「日米FTA」の締結を求めています。

そのうえで、再び米国がTPPに参加するとなれば、日米FTAと同様もしくはそれ以上の市場開放(日本側の譲歩)を望んでくるのは必至です。

何年か前から、米国政府は輸出倍増計画をもっています。

そのツールとしてFTAやTPPなどの米国にとって都合のいい貿易協定の締結を目論んできたことは言うまでもありません。

下のグラフをご覧ください。

米国にとって大幅な輸出拡大を期待できるTPP市場は日本以外にないのです。

もしも米韓FTAや12カ国によるTPPを締結したのなら、おそらく米国はドル安政策に転換するのではないでしょうか。

その方が、明らかに米国の輸出産業にとって有利です。

となると、為替市場は円高となって日本の輸出産業は自由貿易の恩恵を受けることなく大打撃をうけ、加えて日本の株価も下落することになるのではないでしょうか。