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議会報告 政治・経済

経常収支の黒字を喜ぶ前に…2018/02/08    

本日(2月8日)、財務省から2917年の国際収支統計が発表されました。

『経常黒字リーマン後最大 17年21.8兆円、海外配当けん引
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO26668550Y8A200C1MM0000/?nf=1

財務省が8日発表した2017年の国際収支統計(速報)によると、海外とのモノやサービスなどの取引状況を示す経常収支は21兆8742億円の黒字だった。黒字額は16年比で7.5%増え、07年以来10年ぶりの高水準となった。好調な海外経済や円安を背景に、企業の海外子会社からの配当金など所得収支がけん引した。(後略)』

国際収支関連統計とは、一定の期間において日本国内の居住者と非居住者の間で行われた、あらゆる対外経済取引を体系的に記録した統計です。

国際収支は、主として①経常収支②金融収支、③資本移転等収支の3つから成っています。

そして概念的には必ず ① + ② + ③ = 0(ゼロ)となります。

ここでは、①の経常収支について取り上げます。

経常収支の内訳は…
(1)海外とのモノやサービスなどの取引状況を示す「貿易・サービス収支」
(2)日本人が海外で稼いだ所得(金利や配当金などの収入)から外国人が日本国内で稼いだ所得(金利や配当金などの収入)を差し引いた「所得収支」
(3)国連の分担金など、日本から海外に移転した所得を示す「経常移転収支」…の3つです。

さっそく、経常収支の内訳をグラフ化してみました。

まず、貿易・サービス収支が2011年から2015年まで赤字化していますが、これは福島第一原発の事故を受け、すべての原発を止め火力発電所をフル回転させたことで、原油やLNG(液化天然ガス)の輸入量が一時的に増えたことの結果です。

グラフをご覧のとおり、何よりも大幅な黒字なのは、オレンジ色の棒グラフ「所得収支」です。(※所得収支の正式な統計名は「第一次所得収支」と言いますが、ここでは「所得収支」と呼びます)

所得収支は、雇用者報酬と投資収益の受取・支払を計上する統計項目です。

雇用者報酬は海外に居住する日本国民の報酬を指します。

例えば、日本人がアメリカで雇用者報酬を受ける と、日本国は所得収支のプラスになり、逆に日本在住のアメリカ人が雇用者報酬を得ると、アメリカの所得収支がプラ スになります。

その差し引きが「所得収支」です。

なお、日本が保有する対外金融資産、負債に関連した利子・配当金等の受取・支払についても投資収益として所得収支に計上されます。

何と言っても我が国は世界最大の対外純資産国ですので、上のグラフのとおり、利子や配当金などの所得収支が大幅に黒字化しているわけです。

所得収支のうち、企業が海外子会社から受け取る配当金だけで、その黒字額は20.8%増の8兆7,995億円にのぼっていますので。

凄まじい黒字ですね。

とはいえ、経常収支が大幅な黒字であるからといって、あまり「えばれた話し」でもありません。

例えば「貿易・サービス収支」が黒字になるのは、日本の産業競争力が強いというよりも、長引くデフレで国内需要が低迷しているがゆえの結果ですし、「所得収支」が大幅な黒字になっているのもデフレで日本国内に投資先が乏しいことの裏返しでもあります。

下のグラフのとおり、実質賃金が下がり続けていのは、我が国経済がデフレ経済の直中にある証拠です。

デフレ経済とは、国民を貧困化させる経済です。

また、長引くデフレに加え、雇用規制の緩和など株主資本主義に基づく構造改革が国内の所得格差を助長しています。

とりわけ、その最大の被害者は我が国の若者世代です。

経常収支の黒字化を喜ぶ前に、機能的な財政政策で着実にデフレを脱却し、実質賃金を引き上げるべきです。

そうでないと、国民が経済的豊かさを実感できる日はいつになっても訪れません。