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議会報告 政治・経済

通貨の適正管理には国家の存在が必要2018/01/28    

きのう、大手仮想通貨取引所であるコインチェックは外部から不正なアクセスを受け、顧客から預かっていた仮想通貨(約580億円分)が流出したと発表しました。

デジタルデーターの世界だけに、すごい金額ですね。

現在、原因や影響人数については調査中とこと。

さて、仮想通貨が既存の通貨に代わって流通通貨になるかどうかがよく議論されています。

先日も、テレビでお馴染みの池上何某氏などが、その可能性について嬉しそうに解説されていましたが、私個人としてはありえない話しだと思っています。

そこでまず「仮想通貨とは何か」ですが…

ビットコインなどの仮想通貨を入手するには、マイニングという作業が必要になります。

それによって初めて世の中で暗号通貨として使用されるようになります。

マイニングは、日本語訳すると「採掘」です。

採掘は、その名のとおり、地中に埋まっている鉱石や石油などを掘り出すことを意味します。

鉱石もまた、まだ世の中に出回っていない地中奥深くに眠っているものが採掘され、初めて世の中に宝石などとして使用されるようになります。

ビットコインも同じです。

まだ発行されていないビットコインをマイニング(採掘)することにより、初めて世の中で暗号通貨として使用されるようになるわけです。

要するに仮想通貨は通貨というよりも、金や銀や貴金属などの鉱石により近いものであるということです。

現に仮想通貨は金相場のごとく投機の対象となって価格が乱高下します。

ここの理解は極めて重要です。

私たち日本国民がお財布に入れているお札は、金や銀や貴金属などの裏付けのない単なる不換紙幣です。(金や銀や貴金属などの裏付けのある紙幣のことを「兌換紙幣」という)

日本円としての紙幣(日銀券)が投機の対象となってその価値が乱高下することなどあり得ません。

この一点をもっても、仮想通貨はおカネとは成り難いように思えます。

いわゆる新古典派経済学を基礎にしている新自由主義思想は、通貨を「不換紙幣」とは捉えず「兌換紙幣」と捉えます。

不換紙幣の場合、その価値を管理(保証)する国家なり政府なりの存在が必要になりますが、金や銀や貴金属の場合、そのモノ自体に価値がありますのでおカネを管理(保障)する国家や政府の存在は必要なくなります。

こうしたおカネを金や銀や貴金属として捉える考え方を「金属主義」といいます。

新古典派経済学や新自由主義思想が「政府の存在は必要悪であり、できうるかぎりその役割を小さくすべきである」と考えるのはそうした「金属主義」という考え方が背景にあるからです。

因みに昔、イギリスが7つの海を支配していたころもそうでしたが、「貨幣とは金や銀や貴金属のことを指す、だから貿易黒字によってそれを蓄えることが英国の国力であり、英国の富である」という考え方がありました。

これを重商主義といいました。

世界統一通貨という不換紙幣が存在しなかったので、金や銀や貴金属などの鉱物資源を通貨として使用せざるを得なかったわけです。

さて、経済学の世界では、「おカネ=鉱石」と考えるか、「おカネ=借用証書」と考えるのかの二つの考え方があります。

先ほども述べましたとおり前者が政府の関与(裏付け)を必要としない「金属主義」であるのに対し、後者は政府による関与(裏付け)を必要とする「表券主義」となります。

結論としては、おカネの本質は「金属主義」にあるのではなく「表券主義」にある以上、仮想通貨が既存通貨にとって代わることはあり得ないものと考えます。

例えば、もしも政府(日銀)が発行した紙幣(日銀券)の偽物が世の中に出回った場合、日本政府という国家が、その犯人を捕まえ罰するとともに通貨(紙幣)の信用を支えるための方策をとります。

しかし、政府(国家)による裏付けのない仮想通貨の世界では、今回のような何かしらの不正によって損害が生じたとしても国家権力による自己調整機能は働きません。

経済や金融なるものは、必ず政府や国家による政策的関与が求められます。

そのことも、仮想通貨が既存通貨にとって代わることはあり得ない大きな理由となります。