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議会報告 政治・経済

ステルス・テーパリング2018/01/17    

WSJ(ウォール・ストリート・ジャーナル)によれば、債券市場が動揺しているとのことです。

現在、日本銀行は、物価(インフレ率)が2%に到達するまで金融緩和(量的緩和)を続けることをコミットメントしています。

量的緩和とは日本銀行が民間銀行の保有している国債を購入することですが、日本銀行が民間銀行から国債を購入すると民間銀行が日本銀行内にもっている当座預金残高が増えます。

即ち、民間銀行の当座預金残高を増やすことで民間銀行の貸出しを促し、デフレ脱却を図ろうとしているわけです。

とはいえ今のところ、民間銀行の日銀当座預金残高だけは着実に増えていますが、日銀の目論むところの「貸出し」は一向に増えずデフレ脱却には至っていません。

どんなに日銀当座預金残高が増えようとも、誰かがモノやサービスを購入してGDP(名目GDP)を拡大しないかぎり、「貸出し」は増えずデフレを脱却することはできません。

さて、その上で前述の「債券市場の動揺」の話しですが…

日本銀行による国債の買い入れ額が、予想していた買い入れ額を下回ったことから、債券市場が動揺しているとのことです。

『日銀が発した「誤ったシグナル」 先走る債券市場
http://jp.wsj.com/articles/SB12390652996525754666604583632263351478222

日銀のテーパリング(資産買い入れの段階的縮小)観測はひどく誇張されている。日銀が今週買い入れた長期債は想定を下回った。予想の2000億円に対し、買い入れ額は1900億円だと発表したのだ。(後略)』

要するに「日本銀行が量的緩和を段階的に縮小しているのではないか?」という憶測が債券市場に広まった、とのことです。

段階的な買い入れ縮小のことをテーパリングと言いますが、「もしも日本銀行がそれを密かに行っているのだとすればステルス・テーパリングじゃいないかっ…」と債券市場は勘ぐっているし、仮にそうでないとしても、急に買い入れ額を減らしたりすると「あらぬ誤解」を招くことになるのではないか、と記事は伝えています。

もしも日本銀行が正式にテーパリング(量的緩和の縮小)をはじめたとすると、為替は一気に円高に進むことになりますので投資家など市場関係者にとっては重大なニュースなのです。

といっても、おそらく日本銀行にはテーパリングしているという認識はないでしょう。

デフレ脱却どころか、インフレ率が思うように上昇していないという現在の状況下では、量的緩和の縮小(終了)など決断できるわけがありません。

ただ、日本銀行は否が応でもテーパリングせざるを得ない状況に追い込まれているのも事実です。

なぜか?

市場の国債が枯渇しているためです。

上のグラフのとおり、既に国債の約43%を日本銀行が保有するに至っています。

民間銀行の保有比率は残り17.5%です。

民間銀行としてもデフレ経済で貸出しが増えない以上、国債で資産運用しなければやっていけませんので、17.5%の国債をすべて日本銀行に売ってはくれません。

だから日本銀行は追い詰められているわけです。

解決策はただ一つ、国債(政府の負債)を増やせばいい。

そうすればデフレを脱却できるし、日本銀行にも出口戦略という逃げ道ができます。

何よりもデフレを脱却できれば、財政再建(政府債務対GDP比の低下)も可能です。