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議会報告 川崎市政

国民生活を蝕む「薄らネオリベ」2018/01/05    

国会議員のみならず、地方議会議員、あるいは地方自治体の長の中には、何が何でもとにかく「民営化することがカッコイイ」と思い込んでいる浅慮で、いかにも中二病的な人たちがいます。

ご多分に漏れず、川崎市も然り。

昨年から始まった中学校給食においても、給食センターはPFIで設置され運営されています。

PFIとは、Private Finance Initiative(プライベート・ファイナンス・イニシアティブ)の略で、一般的には民間資金を活用して公共施設等の建設、維持管理、運営等を行うことです。

「なんだ、民間資金を活用するならいい事じゃないか」と思われる方もおられるかもしれませんが、話しはそう単純でもありません。

例えば、とある場所に政府が1兆円をかけて橋をつくらなければならないとします。

通常、政府は建設国債を発行することで1兆円の資金を調達し、その資金で民間の建設会社に工事を発注することになります。

建設国債の引き受け手は主として民間金融機関です。

このとき、おカネの動きは次のようになります。

まず、民間金融機関が建設国債を購入することで、民間金融機関が日銀にもっている当座預金から、政府が日銀にもっている当座預金(政府預金)に1兆円のおカネが移動します。(実際に移動するのは、現金ではなくデジタルデータ)

そのおカネで、政府は建設会社に工事を発注します。

ここがポイントですが、このとき、政府は建設会社に対して1兆円を現金で支払うわけではありません。

政府は、「政府小切手」で支払います。

(政府小切手を)支払ったとはいえ、1兆円のおカネは未だ政府が日銀にもっている当座預金(政府預金)にあります。

一方、政府小切手を受け取った建設会社は、政府小切手では社員や下請け企業におカネを支払うことができませんので、政府小切手を民間金融機関に持ち込んで現金化(預金化)します。

そして政府小切手を持ち込まれた民間金融機関もまた、それを政府(日銀)に持ち込んで現金(日銀当座預金)化するわけです。

このとき、政府が日銀にもっている当座預金(政府預金)に預け置かれていた1兆円が、民間金融機関が日銀にもっている当座預金(日銀当座預金)に戻ってくることになります。

つまり、政府による国債発行と公共事業は、政府と民間金融機関が日銀内にもっている当座預金の間でおカネが行ったり来たりしているだけなのです。

要するに、何が言いたいのかと申しますと、政府の国債発行に資金的な制約はない、ということです。

もっといえば、政府は税金で国債を返済しているわけではありません。

それに、我が国の国債発行残高が増えているのは、建設国債ではなく赤字国債です。

なぜ赤字国債残高が増えたのかといえば、デフレによって政府税収が不足し続けてきたからです。

デフレが解消されれば、政府債務対GDP比率は自然に低下していきます。(※ 政府債務対GDP比率の低下こそが財政健全化を意味する)

そもそも民間金融機関が日銀にもっている当座預金(日銀当座預金)の原資は政府によって発行された国債です。

即ち、世に出回るおカネの原資は政府が発行する国債なのであり、その一点において国債の存在は悪ではありません。

なのに、国債の存在そのものが悪であるかの如く喧伝する悪辣な連中がいて、「政府にはおカネがないのだから民間資金を活用すべきだ」という虚論が世を流布しています。

その連中の最たるものが、いわゆるネオリベ(新自由主義者)です。

因みに、その学問的支柱が新古典派経済学です。

ネオリベラリズムとは、「自由な競争市場こそが効率的な資源配分をもたらし経済厚生を最大化させる」というドグマです。

そのドグマによれば、自由化、民営化、規制緩和、緊縮財政、自由貿易、これらはすべて常に善である、とのことです。

そんなバカな…

前述のPFIも、このドグマの延長線上にあります。

つまり「公的機関が公的なおカネで事業をやると無駄が多いから、できるだけ政府や行政の関与を取り除き、事業の一切を民間企業(民間資金)に委ねたほうがよい」という思想です。

ここで言う民間企業には外資も含まれます。

例えば、浜松市が先行的に行っている水道事業の民営化では、請け負った事業体の中にフランスに本社を置く多国籍企業「ヴェオリア」が入っています。

つまり浜松市は水道事業の運営管理の一部を外資に委ねているわけです。

なぜ、公的事業たる水道事業を外資に委ね儲けさせる必要があるのでしょうか。

「水」こそは、国民にとって生活安全保障そのものなのに。

民営化されたことによって浜松市の水道事業サービスが安く質の高いものになるのであればいざ知らず、これまでの事例からすると間違いなくサービス水準は低下し水道事業に対する市民負担は上がっていきます。

利益の最大化を目的とする民間事業者が公的サービスを運営すれば必ずそうなります。

特にネオリベラリズムが求めるのは、ただの「利益の最大化」ではなく「短期利益の最大化」です。

その種の事例は事欠かず、今や世界的な流れとして、水道・下水道サービスの「再公営化」が進んでいます。

なのに、我が国は周回遅れで公的事業の民営化やPFI事業を拡大しようとしています。

『公共インフラの民間売却容易に 自治体の負担軽く
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO25291440T00C18A1MM8000/

政府は地方自治体が運営する公共インフラの民間への売却を促すためPFI(民間資金を活用した社会資本整備)法を改正する。上下水道や公共施設の運営権を売却する際、地方議会の議決を不要にし、国から借りたお金を前倒しで返すことも認める。(後略)』

要するに、貴重なる国民の資産を、外資を含めた民間事業者に切り売りしていく制度です。

地方自治体には中央政府のような通貨発行権はありませんが、地方自治体の発行する地方債の多くは借り換えが可能であり、公的インフラが整備されれば域内GDPが活性化し、域内GDPが活性化されればそれに比例して税収も拡大していきます。

下のグラフのとおり、川崎市の事例をみても、市内GDPと税収は相関していることがわかります。

要するに、現在の日本にPFIも民営化も必要ありません。

問題はデフレが解消されていないことです。

しかも政府や地方行政が、普通に債券を発行し、普通に支出さえしてくれれば、ふつうにデフレを脱却することができます。

おそらく、ネオリベの手先となっている中二病的な国会議員、地方議員、自治体の長たちの多くは、自分がネオリベの手先になっていることに気づいていないのでしょう…きっと。

そういうのを「薄らネオリベ」というのでしょうか。

そうした行政関係者らが、短期利益の最大化を求める企業や投資家たちのために国民生活(国民安全保障)を犠牲にしようとしています。